三井松島HD Research Memo(5):M&Aにより収益基盤の多様化・安定化を推進中(3)
*16:25JST 三井松島HD Research Memo(5):M&Aにより収益基盤の多様化・安定化を推進中(3)
■三井松島ホールディングス<1518>の事業内容
(8) 日本カタン
2022年5月に株式取得した日本カタンは、鉄塔と送電線を連結する送電線用架線金具を取り扱っている。
国内で架線金具の構成部品すべてを製造できるメーカーは2社のみとなっており、日本カタンは国内高圧送電線用架線金具市場でトップシェアを誇る専門メーカーである。顧客である電力会社の製品規格に対応できる技術力を有し、他社が強固な顧客基盤を構築するには相応の時間を要するため、今後も高いシェアが継続すると見込まれる。また、政府は再生可能エネルギー普及のため次世代送電網整備計画の策定を検討しており、送電設備の工事需要の高まりも期待される。
(9) プラスワンテクノ
2023年8月に株式取得したプラスワンテクノは、同社初の九州地場企業に係る事業承継案件としてグループに加わった。福岡県北九州市に本社を構え、計量装置製造を主体に、その周辺機器等の製造を手掛けており、計量装置大手が参入しないコンマ単位の軽量領域というニッチ市場でトップシェアを誇っている。ペットフード、保存食、インスタント味噌汁具材の計量・包装などに使用されており、日清食品ホールディングス<2897>、味の素食品<2802>、カルビー<2229>、永谷園ホールディングス<2899>などを始めとする国内大手企業への納入実績が多数あるほか、海外企業への納入実績もある。今後は、同社グループが持つ経営ノウハウを活用しながら業績を拡大する方針だ。
(10) ジャパン・チェーン・ホールディングス
2023年12月に株式取得したジャパン・チェーン・ホールディングスは、傘下に(株)杉山チエン製作所、ゼクサスチェン(株)及びMAXCO Chain,Ltd.の3社を擁し(4社を総称して以下、「JCHグループ」)、産業用ローラーチェーン及びコンベヤチェーンの製造・販売等を展開している。JCHグループは、創業以来110年以上にわたり国内外の様々な産業の顧客から高い信頼を獲得しており、特に動力機械伝達用のローラーチェーンにおいて国内外で高いシェアを獲得していることに加え、水処理施設向け等の大型コンベヤチェーンに係る国内市場においてトップシェアを誇っている。JCHグループの強みとしては、(1) 優れた疲労強度や破断強度等の耐久性を有し、国内外で評価が高い日本製チェーンを幅広いラインナップで展開していること、(2) 長年にわたり顧客と信頼関係を構築し、様々なニーズに対応できる高度なカスタマイズ能力を有していること、(3) 今後も成長が見込まれる世界最大の産業用チェーン市場であるアメリカで強固な販売ネットワークを有することなどがある。今後は、同社グループが持つ経営ノウハウを活用しながら生産活動のさらなる効率化などを推進し、トップラインの拡大と利益の積み上げを実現する方針である。また、ジャパン・チェーン・ホールディングスの地域別売上高を見てみると、米国からの売上が相応に高い。今回の買収を通じて、同社は米国の力強い経済成長力を連結ベースの業績に取り込んだ格好だ。
2. エネルギー事業
同事業は、祖業の石炭関連事業に該当する石炭生産分野及び石炭販売分野と、2012年に開始した再生可能エネルギー分野からなる。各分野の売上構成比(2024年3月期)は石炭生産分野98.8%、石炭販売分野0.4%、再生可能エネルギー分野0.9%と、石炭生産分野が大半を占める。
(1) 石炭生産分野
MITSUI MATSUSHIMA AUSTRALIA PTY.LTD.が、Glencoreとジョイント・ベンチャーとして豪州NSW州リデル炭鉱の操業を行い、出資比率(32.5%)に応じた炭鉱権益を得てきた。高品質の一般炭(全体の約84%)及び原料炭を生産し、主に日本向けに出荷してきた。
なお豪州リデル炭鉱については、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期中に終掘となった。これにより、石炭生産は2024年3月期をもって終了した。
(2) 石炭販売分野
2018年10月の純粋持株会社移行に伴い新設分割された分野で、三井松島産業(株)が日本国内の電力会社や鉄鋼会社へ石炭を販売してきた。取扱数量に応じたコミッション(口銭)を収益としていることから、石炭価格の変動による利益の影響は限定的である。なお、豪州リデル炭鉱の終掘に伴い、同事業に関しても2024年3月期をもって終了した。
(3) 再生可能エネルギー分野
MMエナジー(株)が、福岡県福津市内にある同社所有地を利用して6MWの太陽光発電所「メガソーラーつやざき発電所」を運営している。年間発電量は、一般家庭約2,000世帯分の年間消費電力に相当する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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