高千穂交易 Research Memo(1):セキュリティ関連製品・半導体などの輸入を中心とするBtoB商社
*14:51JST 高千穂交易 Research Memo(1):セキュリティ関連製品・半導体などの輸入を中心とするBtoB商社
■要約
高千穂交易<2676>は、主に、セキュリティ関連などのシステム機器や機構部品・半導体などのデバイス機器を主として海外メーカーから仕入れて国内のユーザーに提供するBtoBの商社である。特に「安全・安心・快適」を提供する商品監視システムや機構部品のスライドレールでは国内トップクラスの高いシェアを持っており、近年は、クラウドサービス等の高収益事業へ注力し、収益構造の改善が進んでいる。
1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期は、売上高23,360百万円(前期比12.4%増)、営業利益1,376百万円(同34.4%増)、経常利益1,588百万円(同27.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,205百万円(同37.2%増)となった。2023年3月期からの新セグメントであるクラウドサービス&サポートは、MSPサービス※のライセンスが積み上がったことなどから増収増益となった。システムでは、ビジネスソリューションとグローバルは堅調であったが、リテールソリューションが前期の反動で減収となったことにより、セグメントとしては減収減益となった。デバイスは、エレクトロニクスが好調に推移したことにより、増収増益となった。売上総利益率は商品構成の変化により0.5pt上昇した。これに加えて販管費の抑制に努めたことから営業利益は大幅増益となり、営業利益以下の各段階利益で上場来最高となった。
※MSP(Managed Service Provider)サービス:クラウド製品の保守運用・稼働監視をサブスクリプション型で行う同社独自のサービス
2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期は、売上高24,800百万円(前期比6.2%増)、営業利益1,620百万円(同17.7%増)、経常利益1,600百万円(同0.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,249百万円(同3.6%増)が予想されている。ウクライナ情勢、米中の覇権争い、為替動向など先行きは不透明であるが、「モノ売りからコト売りへ」の方針を一段と強化することで収益力を高め、全セグメントで増収増益を計画している。容易な目標ではないだろうが、ここ数年で同社の収益力は高まってきており、会社の体質が変わりつつあるなかで、今後の動向に注目したい。
3. 中期経営計画
同社では、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進している。中期スローガンとして「創造へのチャレンジ~Toward 100th anniversary ニューノーマル時代における新たな価値創造へ~」を掲げている。新たな「資本戦略」「事業戦略」「ガバナンス」の推進により、株主価値の向上を実現していく方針だ。主な定量的な目標として、2025年3月期に経常利益20億円、親会社株主に帰属する当期純利益14億円、計画中の3期平均ROEは8%を掲げている。単に利益目標だけでなく、資本効率の改善まで踏み込んだ計画を掲げている点は評価できるだろう。今後の動向が大いに注目される。株式については、2022年4月4日の東京証券取引所の市場再編で、東証プライム市場に移行している。
■Key Points
・システム機器、機構部品、半導体等のBtoB輸入商社であり、専門的技術者が多い
・2023年3月期は34.4%営業増益、2024年3月期も17.7%営業増益を目指す
・中期経営計画では、2025年3月期に経常利益20億円が目標、資本効率の改善も進める
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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