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銘柄/投資戦略 2024/06/17 13:07 一覧へ

いちご Research Memo(7):長期VISION「いちご2030」の達成に向けKPIを刷新、進捗は順調

*13:07JST いちご Research Memo(7):長期VISION「いちご2030」の達成に向けKPIを刷新、進捗は順調 ■中長期の成長戦略

1. 長期VISION「いちご2030」の達成に向けKPIを刷新、進捗は順調
いちご<2337>では2030年2月期に向けて長期VISION「いちご2030」を推進しており、順調に進捗している。外部環境や進捗状況も変化しており2025年2月期からはKPIが新設・強化された。「資本生産性及びキャッシュ創出力」に関しては、新たに「キャッシュROE」が新設された。徹底的なキャッシュ・フロー経営を目指すなかで指標として新設されたものだ。2024年2月期に17.2%であり、目標の18%までもう少しである。「安定収益」に関しては、新たに「ストック収益固定費カバー率」が新設された。2024年2月期に214%であり、目標の200%を既に達成しているため、今後は維持・向上を目指す。「株主還元策」においては、「DOE(株主資本配当率)」の目標値を3%以上から4%以上にハードルを上げた。2024年2月期に3.8%である。「サステナブルな社会へ向けた環境課題解決」に関しては、「いちごのクライメート・ポジティブ」、「RE100」、「CDPリーダーシップレベル」の3項目がKPIとして追加された。これまでもサステブル経営を標榜する中で追求してきた分野ではあるが、改めてKPI化した形である。弊社では、既に目標を達成し維持フェーズに入ったKPIや目標に肉薄しているKPIが多く、長期VISION「いちご2030」は力強く実現に向かっていると評価している。

2. セキュリティ・トークンによる投資機会の提供で先行
同社では、2023年11月に、同社第3号として「いちご・レジデンス・トークン」を発行し即完売した。セキュリティ・トークンは、株式等の一般的な有価証券と同様に金融商品取引法の下で規制され、ブロックチェーンにて権利が管理されることでデータの改ざんが極めて困難な、安全性に優れた投資商品である。小口から投資できるため個人投資家も投資機会が得られる。同社では2022年11月の第1号を皮切りに、2023年8月に第2号を発行し、実績を積み重ねてきた。第3号案件は、大阪デジタルエクスチェンジ(株)におけるセキュリティ・トークンの流通を企図した新取引システム「START」での取り扱い第1号銘柄となった。投資対象不動産はいちごオーナーズが保有する東京23区内のレジデンスであり、芝公園・東新宿・都立大学・門前仲町・高井戸・新小岩の6物件(7棟、89億円)である。同社ではセキュリティ・トークン市場を将来的に成長力のある市場と捉えている。J-REIT(20兆円)、私募ファンド等(30兆円)に次ぐ市場として、2032年には、2.6兆円の市場規模(運用残高)に達すると見られている。同社では、2024年2月期に、「いちご・レジデンス・トークン」及び「いちご・オーナーズビルシェア」で売上高168億円を達成し、いちご・オーナーズの売上構成比の34%を担うまでに成長した。2025年2月期も300億円の運用資産を積み増し、市場創造期からトップランナーとしてプレゼンスを拡大したい考えだ。

3. サステナビリティ分野で様々な達成
サステナビリティ分野では様々な達成があった。前述のように、長期「いちご2030」のKPIに新たに組み込まれた「いちごのクライメート・ポジティブ」、「RE100」、「CDPリーダーシップレベル」に関しては順調に進捗している。この他にも、日本経済新聞社による「脱炭素経営ランキングGX500」(2023年版)において、「情報開示」と「排出量の管理や削減実績」部門で1位を獲得(5部門中2部門)した。クリーンエネルギー事業を推進しているのに加え、不動産事業における削減、その取組み方法が外部から高く評価されたと言える。主力の不動産事業では、中古ビルのZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の認証取得に成功した。「いちご花京院ビル(仙台市)」で「ZEB Oriented」認証を取得したもので、ZEB化の難易度が高い現存大規模ビルでの認証取得は、今後の心築の新たな手法として、展開が期待できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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