日空調 Research Memo(1):2025年3月期中間期は前年同期比75.9%の営業増益
*12:01JST 日空調 Research Memo(1):2025年3月期中間期は前年同期比75.9%の営業増益
■要約
新日本空調<1952>は、空調設備を主とした建築設備の設計・施工管理を手掛ける総合設備エンジニアリング会社である。設立から100年近い歴史があり、国内の大手空調設備会社の一角だが、特に原子力関連の空調システムにおいて高い技術力を持っている。
1. 2025年3月期中間期は前年同期比75.9%の営業増益
2025年3月期第2四半期(以下、中間期)の業績は、受注工事高79,238百万円(前年同期比3.7%減)、完成工事高54,773百万円(同16.6%増)、営業利益2,490百万円(同75.9%増)、経常利益2,862百万円(同69.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,876百万円(同66.1%増)となった。繰越工事高も134,127百万円(同1.8%増)となり、完成工事高、完成工事総利益、営業利益、経常利益、繰越工事高は中間期時点での過去最高を更新した。完成工事総利益率は13.4%(前年同期は11.4%)と改善した。これは、採算の良い工事が完工したことや効率化が進んだことによる。一方で販管費は、人員増や職場環境の改善などにより同21.8%増となったが計画どおりに推移した。その結果、営業利益は前年同期比で大幅増益となった。
2. 2025年3月期通期の営業利益は前期比0.7%増予想だが上振れも
2025年3月期については、受注工事高130,000百万円(前期比7.9%減)、完成工事高133,000百万円(同3.9%増)、営業利益9,300百万円(同0.7%増)、経常利益9,800百万円(同0.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,000百万円(同11.6%増)と予想している。完成工事総利益率は14.6%(前期も14.6%)と前期並みの見込みで、販管費は前期比6.7%増を予想している。上半期の実績が堅調であったことから、この予想が達成される可能性は高いと思われる。さらにこの予想では、下半期の営業利益が前年同期比で減益となるため、工事の進捗によほどの遅れなどが発生しなければ、通期予想も上方修正される可能性が高いと弊社では見ている。
3. 中期経営計画「SNK Vision 2030 Phase II」を推進中
同社は、2030年を節目とした長期経営方針となる10年ビジョン「SNK Vision 2030」を発表している。この計画では、「グループとして持続可能な地球環境の実現と顧客目線の価値向上に向けて、ナレッジとテクノロジーを活用するエンジニア集団を目指す」ことを目標とし、基本方針として「事業基盤増強戦略」「収益力向上戦略」「デジタル変革戦略」「企業統治戦略」「人的資本戦略」の5つを掲げている。数値目標としては「事業規模1,300〜1,500億円、営業利益率10%以上、ROE10%以上」を目指す。現在は、この計画のPhase II(2026年3月期最終年度)を推進中であるが、本計画に沿って、資本政策も含めて各種施策を着実に実行しつつある。
4. 2025年3月期の年間配当は60円を予定
同社は、株主還元に関する基本方針としてDOE(株主資本配当率)の下限を3%、連結配当性向30%以上としていたが、適正な資本効率を実現するため2025年3月期から基本方針を「DOEの下限を5%、2030年までは原則減配をしない」に変更した。これに伴い、2025年3月期の配当を60円※に増配(2024年3月期は年間50円)することを発表済みだ。さらに上限10億円の自己株式取得も発表しており、単に業績の向上を目指すだけでなく、資本政策と株主還元策においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。
※ 2025年1月1日を効力発生日として普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行う予定であり、過去の配当金額を遡及して修正済み。
■Key Points
・国内トップクラスの空調設備会社。原子力関連に強み
・2025年3月期中間期は75.9%の営業増益、通期では0.7%増予想だが上振れも
・2025年3月期は年間60円配当(DOE5.0%)を予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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