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銘柄/投資戦略 2024/12/20 13:03 一覧へ

加藤製作所 Research Memo(3):建設用クレーンと油圧ショベルが主力

*13:03JST 加藤製作所 Research Memo(3):建設用クレーンと油圧ショベルが主力 ■加藤製作所<6390>の事業概要

1. 事業概要
建設用クレーンのラインナップはラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン、クローラクレーンである。ラフテレーンクレーンは大型タイヤを装備し、1つの運転室で走行とクレーン操作の両方が可能な自走式クレーンである。不整地走破性と小回り性に優れている。オールテレーンクレーンは大型タイヤを装備し、走行用とクレーン操作用運転室がそれぞれ独立した構造となっている自走式クレーンである。トラッククレーン(トラックに運転室付きのクレーン装置を架装した特殊車両)とラフテレーンクレーンの利点を併せ持つ形で、高速走行性と不整地走破性を兼ね備えている。クローラクレーンは、走行装置の上にクレーン装置を搭載した移動式クレーンである。公道を自走することはできないが、軟弱地盤でも安定的に使用できる。

油圧ショベル等のラインナップは油圧ショベル、ミニショベル、クローラキャリアである。油圧ショベルはクローラ式走行部を有する掘削機械で、不整地を自走できる。ミニショベルは小型の油圧ショベルで、小回りが効くため多様な現場で活用できる。クローラキャリアは不整地を自走できるクローラ式のダンプカー(不整地運搬車)である。土砂・木材運搬や整地作業などに使用され、作業効率が良く、多彩な現場で活用可能である。

そのほかの製品としては、道路上のゴミや塵芥を掃除機のように吸い込んで道路を清掃する路面清掃車、汚泥・汚水から粉粒体までを吸引して輸送する万能吸引車、除雪作業を行うスノースイーパなどがある。全社売上に対する構成比は低いものの、競合が少ない市場で、幅広い特装車を製造・販売している。2024年10月には空港用ブラシ式除雪車スノースイーパを、いわて花巻空港(岩手県)に納車し、空港のスムーズな運航体制を支えている。


世界初のハイブリッドラフターなど時代に合わせた新製品を開発

2. 研究開発・新製品の動向
研究開発については、建設業界における人材不足への対策として、自動運転による省人化・効率化及び生産性の向上に貢献するとともに、地球環境負荷の軽減にも資する新技術・新製品の開発を推進している。2022年11月には同社、(株)ソリトンシステムズ、協立電子工業(株)の3社が協同し、ラフテレーンクレーンでのクレーン遠隔操作システムの実証試験を行った。機体搭乗による同社現行機のクレーン操作フィーリングのレベルには達していないものの、遠隔操作の実用化が可能であることが分かったため、今後も遠隔操作技術の要素研究を推進する。

また、2023年4月にはクローラキャリア「IC37-5」の販売を開始した。これまで5t積載以上の大型機種のみに搭載していた「電子制御方式走行操作システム」を3tクラスのクローラキャリアに初めて採用し、走行操作の安全性向上と環境への配慮を両立した。2019年から規制開始となった欧州における排出ガス規制(欧州Stage V)にも適合している。

同年5月には全旋回式クローラキャリア「IC70R」の販売を開始し、全旋回式クローラキャリア市場へ新規参入した。徹底した安心・安全の低重心設計、堅牢設計、過積載監視テレマシステム、滑らかな操作フィーリングなど先進テクノロジーを駆使した製品である。なお「IC70R」は2024年7月に日刊工業新聞社主催の第54回機械工業デザイン賞IDEAにおいて審査委員会特別賞を受賞、同年10月に公益財団法人日本デザイン振興会主催の2024年度グッドデザイン賞を受賞した。

2024年4月には60t吊り新型ラフテレーンクレーン「SL-600RfIII」の販売を開始した。最新の排出ガス規制に適合したエンジンを採用することにより、従来機よりも環境に配慮した製品となっている。同年10月にはアジア市場(日本を除く)向け70t吊りラフテレーンクレーン「SR-700LII」の販売を開始した。現地のニーズに合わせたアジア市場限定仕様の製品である。同年12月には新エンジン搭載80t吊りラフテレーンクレーン「SL-850RfIII」を販売開始した。

なお世界初のハイブリッドラフター「SR-250HV」(ハイブリッド式ラフテレーンクレーン)については2024年11月に受注を開始した。ディーゼルエンジンでの走行及び作業を電動モーターがアシストすることで、走行燃費及びクレーン作業燃費の向上を可能にしてCO2排出量を削減するとともに、走行騒音及び作業騒音を低減する。中期経営計画で掲げているSDGs、環境配慮型機種の第1弾として本製品の製造・販売により環境保全の一翼を担っていく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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