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銘柄/投資戦略 2025/09/26 12:03 一覧へ

ロジザード Research Memo(3):創業以来、WMSをクラウド経由で顧客に提供(2)

*12:03JST ロジザード Research Memo(3):創業以来、WMSをクラウド経由で顧客に提供(2) ■会社概要

(3) OMO支援システム「ロジザードOCE」
「ロジザードOCE」は、顧客のオムニチャネル※を支援するシステムである。ロジザード<4391>の「ロジザードZERO」や「ロジザードZERO-STORE」と連携することで、店舗・倉庫の一元化したデータを活用して消費者ごとに最適な出荷・配送を実現できる。在庫を一元管理することによって、複数のチャネルを総合的に活用するオムニチャネル戦略のスムーズな運用にも貢献する。また、他社が提供するWMSと接続して上記の機能を活用できる点も特徴だ。OMOに対するニーズが高まりを見せるなか、同システムに対する需要は、今後も堅調に推移するものと弊社は考える。

※ オムニチャネル(Omni-Channel)とは、消費者がモノを買うときにすべて(=オムニ)の接点(=チャネル)で継ぎ目なく購入できるようにすること。販売側が提供する各チャネルに対して、オンライン(例:ネットショップ)・オフライン(例:実店舗)を問わず、消費者側が在庫数やポイントカードなどの心配をせずに商品を購入できる、「シームレスな購買体験」を提供する。

具体的な活用シーンとしては、消費者からEC経由で注文があった際に、対象商品の在庫がある店舗・倉庫を確認し、どこから配送するのが最も効率的なのかを判断できる。

(4) 料金体系と販売チャネル
「ロジザードZERO」「ロジザードZERO-STORE」「ロジザードOCE」のうち、「ロジザードZERO」では月額固定料か月額従量料を、「ロジザードZERO-STORE」「ロジザードOCE」では月額固定料を選択でき、顧客または顧客の荷主のビジネス上の特性にあわせて利用できる。外部システムとの連携は、連携パートナーが提供するアプリとの間では、オプション料を追加することで追加開発不要で使用できる。クラウドサービスで安定した収益を上げながら、オプションなどによるアップセルもできる収益モデルだ。

販売チャネルは、同社による直接販売、パートナーを通しての営業活動がある。パートナーについては、「ロジザード」シリーズと連携したシステムを開発・販売する連携パートナーと、代理店などの販売パートナーに分かれている。連携パートナーには、GMOメイクショップ(株)といったEC支援システムや受注管理システムなどを開発する企業が名を連ねている。

顧客獲得の手法については、展示会やWeb広告に加え、イントロダクションパートナーと呼ばれる紹介制度など、ユニークな仕組みが導入されている。セミナーや展示会は来場者数が増加傾向にある。既存顧客には情報収集の機会として開放しており、顧客接点の創出にもつながっている。また、WMSの豊富な導入実績も後押しし、Webサイト経由での問い合わせも多い。

また、ロジザードという社名から倉庫会社と誤認されるケースもあり、そうした問い合わせに対しては、同社のネットワークから物流倉庫会社を完全無料で紹介する「ロジザード・マッチン」を提供する。これは将来の顧客獲得につながるユニークな取り組みであると弊社では考える。

3. 特徴と強み
同社のプロダクト面の強みは、短納期・低価格・高サービスに大別できる。商品の特性、管理要件、出荷先特性を顧客へのヒアリングによって的確に把握する能力と、システムの高い汎用性によって、短納期・低価格での導入が可能となっている。さらに、中小規模の企業の顧客には専門のシステムエンジニアがいない場合も多く、同社による365日対応の運用サポートサービスが顧客のIT化を支援している。

また、サブスクリプションモデルによる収益の安定性と高い収益率も同社の特徴だ。顧客のニーズを的確に捉え、ブラッシュアップを継続することが解約率の低下に寄与している。今後も既存顧客の解約率を低位安定させながら新規顧客を積み増すことにより、業績は堅調に拡大するものと弊社は考えている。解約率を低く抑えながら、新規アカウント数を順調に増やしてきたことにより、MRRも順調に積み上がっている状況だ。

4. 事業環境
同社を取り巻く事業環境に関しては、日常生活へのECの浸透や物流業界の人手不足、デジタル化に対応できる人材不足という現状から、今後も順調に市場が拡大すると弊社は見ている。特に、同社の主要顧客である中小規模の企業においてはデジタル化を推進する人材が不足している。経済産業省の「2023年版中小企業白書」によると、直近1年間の人材確保状況について、IT・デジタル人材を69.4%が「採用していない」、20.7%が「不足」と回答している。また、同「2025年版中小企業白書」によると、「アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態」と回答した企業であっても回答企業のうち51.2%が「DXを推進する人材が足りない」と回答している。これらのデータからも、依然としてデジタル化を推進する人材が不足していることがうかがえる。このような環境の中で、クラウド経由で簡単に導入でき、365日対応の手厚いサポート体制を備えている同社サービスへの需要は、堅調に推移していくものと弊社は見ている。また、同社によると、比較的規模の大きいBtoB企業においてもIT人材が不足しているという。2025年の崖問題で指摘されているように、オンプレミスで構築したレガシーシステムを更新できる人材が不足している状況で、クラウド経由で利用できる同社サービスに対するニーズが高まることが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)


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