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銘柄/投資戦略 2025/09/19 14:05 一覧へ

サイオス Research Memo(5):自社開発製品・サービスを拡大し、2027年12月期にROIC10%超を目指す

*14:05JST サイオス Research Memo(5):自社開発製品・サービスを拡大し、2027年12月期にROIC10%超を目指す ■今後の見通し

2. 中期経営計画の進捗状況
サイオス<3744>は2025年12月期よりスタートする3ヶ年の中期経営計画を策定している。最終年度となる2027年12月期の業績目標として売上高22,500百万円、営業利益310百万円、EBITDA362百万円、ROIC10.9%を掲げた。年平均成長率は、売上高で3.0%、営業利益で106.7%となる。2024年12月期に事業構造改革を完了したこと、自社製品・サービスの拡大を図ることで収益性が向上する見通しだ。1年目は期初計画を上回るペースで利益率が向上しており、営業利益は2026年12月期の目標値を超過する可能性があると弊社では見ている。以下に示す成長戦略が順調に進めば、2026年12月期以降も利益は当初目標を上回るペースで拡大する可能性がある。

(1) プロダクト&サービス
プロダクト&サービスでは、「継続的な機能開発・性能改善と生成AIの活用による製品差別化」「販売チャンネルの拡大及びデジタルマーケティングの強化等を通じた顧客開拓」「カスタマーサクセスを通じた顧客とのエンゲージメント強化」の3点を成長戦略として取り組み、2027年12月期に売上高6,900百万円(年平均成長率3.6%)、セグメント利益695百万円(同12.5%)を目指す。利益率は「Gluegentシリーズ」などSaaSビジネスの成長に伴って、2024年12月期の7.9%から10.1%に上昇する見通しだ。

a) 「Gluegentシリーズ」のARR拡大
成長ドライバーとなる「Gluegentシリーズ」では、新規顧客の獲得と合わせて継続的な機能強化等による既存顧客へのアップセル並びに解約抑止に取り組むことでARRを積み上げていく。新規獲得はオンラインセミナーなどデジタルマーケティングの強化や販売パートナーとの連携強化を推進する。解約抑止策としては、カスタマーサクセス体制を強化し顧客満足度の維持向上を図ることで低水準に抑える方針だ。2025年1月にリリースした生成AIを活用した「ユーザーアシスト」機能は、ワークフローの利便性・操作性の向上につながるなど顧客からも好評で、新規顧客の獲得や利用ID数の拡大に貢献している。IDaaS分野では2025年7月より医療業界に特化した「Gluegent Gate Medical」を新たにリリースしており、同業界向けの売上拡大が期待される。

b) 「LifeKeeper」のサブスクリプション強化
「LifeKeeper」については、クラウド環境での利用が国内外で広がるなかで、サブスクリプション契約(定額制、従量課金制)での販売を強化している。海外で先行しているが国内でもサブスクリプション契約での販売を行うための開発を完了させており、ストック型売上の比率を高めることで安定した収益基盤を構築する考えだ。また、企業の情報システムのクラウドシフトが進むなかで、パブリッククラウド大手事業者との関係強化も継続して進めることにしている。また、2025年12月期には10年ぶりのメジャーバージョンアップとなるLifeKeeper v10のリリースを予定している。

c) MFP向けソフトウェア製品
MFP向けソフトウェア製品では、2025年3月に提供開始した「AI-OCR」機能搭載の「QuickスキャンAI」の販売が順調に立ち上がっている。「QuickスキャンAI」の投入によって、既存ユーザーからのアップセルだけでなく新規顧客の獲得を販売パートナーである大塚商会<4768>と連携しながら強化する方針だ。潜在需要の取り込み余地は大きく成長加速を目指す。

(2) コンサルティング&インテグレーション
コンサルティング&インテグレーションでは、「OSSによるシステム開発能力拡大で競争優位性強化」「生成AI活用強化:導入支援案件の拡大及び社内利用拡大による生産性の劇的改善」「卓越した企画・開発力と安定した運用支援で顧客エンゲージメント強化」の3点を成長戦略として取り組み、2027年12月期に売上高3,900百万円(年平均成長率8.7%)、セグメント利益405百万円(同8.1%)を目指す。利益率は人員体制の強化を進めているため、2024年12月期の10.6%から一旦9%台に低下するが、2027年12月期には10.4%に上昇する計画である。

クラウドサービスの普及拡大によって自社システムに他社サービスを連携する動きが活発化するなど、今後高い成長が見込めるAPIソリューション領域では、協業パートナーとの関係性強化による案件獲得が進み増収となった。2025年12月期は一部利益率の低い案件の受注、開発体制の強化による人件費等のコスト増により利益の圧迫があるものの、サービス拡充と開発力の底上げを通じた中長期的な企業価値向上に向けた取り組みが着実に進捗している。また、金融機関向け及び文教向けのシステム開発・構築支援では案件獲得が堅調に推移しており、計画を上回っている。

(3) ソフトウェアセールス&ソリューション
ソフトウェアセールス&ソリューションでは、「Red Hatをはじめとする提携先との取引拡大」「Elasticsearchとの提携による生成AI関連案件の創出」「品質の高いテクニカルサポートで顧客エンゲージメント強化」の3点を成長戦略として取り組み、2027年12月期に売上高11,700百万円(年平均成長率1.1%)、セグメント利益90百万円を目指す。2025年12月期はRed Hat関連商品の反動減で減収となる見込みだが、2026年12月期以降は増収増益に転じる見通しだ。



■株主還元策
内部留保の充実により配当余力が生まれた段階で復配意向
株主還元策については、連結業績の推移・見通し、配当性向・配当利回り・自己資本比率等の指標を総合的に勘案しつつ、安定的な配当を継続することを基本方針としている。2024年12月期は単体決算において米子会社の株式評価損を計上したことにより利益剰余金が51百万円まで減少したことから無配とした(2023年12月期は5.0円配当)。2025年12月期も内部留保の充実を優先し、無配を継続する予定となっている。ただ、一方で同社は配当余力が生じた段階で早期に復配したい意向も示しており、2025年12月期の利益状況を慎重に見守りたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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