ゼンムテック Research Memo(4):2024年12月期は秘密分散・秘密計算とも順調に拡大、2期連続で黒字確保
*12:44JST ゼンムテック Research Memo(4):2024年12月期は秘密分散・秘密計算とも順調に拡大、2期連続で黒字確保
■ZenmuTech<338A>の業績動向
1. 2024年12月期の業績概要
2024年12月期は、売上高が前期比47.2%増の648百万円、営業利益が同62.9%増の76百万円、経常利益が同47.8%増の84百万円、当期純利益が同7.7%増の78百万円となった。
主力商品であるZVDの採用拡大や秘密計算関連の受託収益の増加により、フロー型及びストック型の両ビジネスモデルが順調に推移した。特に、代理店経由による大規模案件の獲得が寄与し、増収となった。一方、利益面では、人件費及び研究開発費が増加したものの、増収効果により各段階で増益となった。
2025年12月期中間期は大型案件の期ズレにより減収、損失計上
2. 2025年12月期中間期の業績概要
2025年12月期中間期の業績は、売上高が前年同期比24.2%減の304百万円、営業損失が24百万円(前年同期は139百万円の利益)、経常損失が18百万円(同139百万円の利益)、中間純損失が13百万円(同102百万円の利益)となった。
減収の主因は、秘密分散ビジネスにおいて、既存顧客向けの大型案件が導入対象範囲の拡大等により検討・調整に時間を要し、下期に売上計上がずれ込んだことに加え、前年同期に大型案件による一過性の売上増加があった反動による。ただし、ZENMU Engineは前年同期比273.6%増、QueryAheadは同11.4%増と伸長した。利益面では、ライセンス販売の比率が低い一方で秘密計算関連の受託案件により外注費など売上に占める原価率が上昇したほか、一時的なIPO関連費用の発生、将来成長に向けた増員による人件費増加、広告・マーケティング強化等の販管費増加などが影響し、営業損失以下すべての段階で損失を計上した。
2025年12月期通期は当初計画どおり増収増益、3期連続で黒字確保の見通し
3. 2025年12月期通期の業績見通し
2025年12月期通期の業績は、売上高が前期比31.0%増の850百万円、営業利益が同47.0%増の112百万円、経常利益が同72.5%増の145百万円、当期純利益が同102.9%増の159百万円と、期初計画どおり増収増益の見通しである。
下期にずれ込んだ大型案件による売上に加えて、ストック売上をベースとしたZVDの安定的な成長と、秘密計算ビジネスの受託開発等により増収を見込む。利益面では、増収効果が費用の増加を吸収して、営業利益以下各段階で増益となり、3期連続で黒字を確保する見通しである。
新規上場に伴う増資により、手元流動性と自己資本が増加
4. 財務状況と経営指標
2025年12月期中間期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比294百万円増加の951百万円となった。主な増加要因は、現金及び預金が295百万円の増加したことによる。そのほかの増減は売掛金が46百万円減少し、無形固定資産が10百万円増加した。
負債合計は、同111百万円減少の307百万円となった。主な減少要因は、契約負債が43百万円、有利子負債が30百万円それぞれ減少したことによる。
純資産合計は、同405百万円増加し、643百万円となった。2025年3月の東証グロース市場への新規上場に伴う増資等により、資本金及び資本剰余金が増加したことによる。結果として、自己資本比率は67.1%に増加した。
また、有利子負債と自己資本の割合を示すD/Eレシオは0.16倍に低下、1年以内に返済する必要のある負債に対し1年以内に現金化される資産の割合を示した流動比率は286.8%に増加し、当面の手元流動性に問題はないと言える。
増資により、現金及び現金同等物は大幅増加
5. キャッシュ・フローの状況
2025年12月期中間期の営業活動によるキャッシュ・フローは、61百万円の支出となった。主な増減要因は売上債権の増加46百万円、税金等調整前中間純損失18百万円、契約負債の減少43百万円であった。投資活動によるキャッシュ・フローは16百万円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは374百万円の収入であった。主な増減要因は借入金残高の純減に伴う支出が30百万円、東証グロース市場への新規上場に伴う株式の発行による収入が397百万円であった。
この結果、2025年12月期中間期末の現金及び現金同等物は前期末比295百万円増加し、中間期末残高は802百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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