エフ・コード Research Memo(6):2023年12月期は事業領域をさらに拡大(2)
*15:06JST エフ・コード Research Memo(6):2023年12月期は事業領域をさらに拡大(2)
■エフ・コード<9211>の業績動向
3. 財務状況と経営指標
2022年2月から2023年1月までに5件のM&Aに投資した約20億円は、IPOで2億円、デット調達で約18億円調達したため、2022年12月期末の自己資本比率(日本基準)は25.5%と前期末を32.8pt下回り、財務バランスが悪化した。そのため、2023年1月に公募と(株)SBI証券への第三者割当による18億円の増資を行い、M&Aによるデット調達資金をカバーし、自己資本増強を図った。自己資本比率(日本基準)は、2023年12月期第1四半期末で53.5%(日本基準)となり、グループ拡大により膨らんだバランスシートの財務安全性を確保した。また、財務体質を強化することで、2023年12月期の機動的な追加資金調達やM&Aなどの事業投資を可能にしたと言えよう。なお、増資により株式数は2023年12月期末で5,161千株と前期末比1,017千株増加したが、事業拡大により当期純利益がそれを上回り増加したため、EPSは2023年12月期末で93.94円と前期末の16.74円の5.6倍に増加した。
2023年12月期は、引き続き4件のM&Aを実施するため4,475百万円のデット調達を行い、1,827百万円の増資と合わせて財務活動のキャッシュ・フローは5,586百万円の収入となった。営業活動によるキャッシュ・フロー878百万円の収入が加わり、M&Aなど投資活動によるキャッシュ・フロー3,304百万円の支出を控除して、現預金は3,161百万円増加した。また、M&Aによる4子会社分ののれんが3,149百万円増加し、資産合計は前期末を7,745百万円上回る10,980百万円となった。その結果、第1四半期で一時的に増加していた自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は29.1%と前期を7.8pt上回ったが、財務安全性の観点からはさらなる自己資本の充実が求められるだろう。一方、M&Aの投資額は、被買収子会社のEBITDAの5倍程度、すなわちデット調達しても5年で返済できる水準としているため、有利子負債から現預金を控除したネットデットをEBITDAで割った倍率は、2023年12月期末で1.9倍だ。言い換えれば、債務を1.9年で返済可能であることを示す指標であり、極めて財務の安全性、信頼性が高いと言えよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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