エフ・コード Research Memo(3):M&Aを活用し事業領域拡大(1)
*15:03JST エフ・コード Research Memo(3):M&Aを活用し事業領域拡大(1)
■事業概要
1. サービスの概要
エフ・コード<9211>は、生活者の利便性を向上することでクライアントである企業の収益性を高めることにコミットしており、生活者と企業を結び付けるプロセスとしてクリエイティブ、マーケティング、テクノロジー、データサイエンス・LTVマーケティングの4つの事業領域を定義している。まず、Webサイトを構築するクリエイティブの領域において、生活者と企業の出会いの場を設ける。そして、ソーシャルメディアや広告を利用したマーケティングの領域において、生活者に出会いの場であるWebサイトを認知してもらい、集客する。そして、WebサイトやLINEを使い易くするテクノロジーの領域において、出会いの場に集客した生活者を、顧客化する、利用してもらう、長く取引をしてもらうためのツールを提供する。最後に、データサイエンスとLTVマーケティングの領域において、より多く・高く購入する顧客を発掘し、施策改善する。
DX・デジタルマーケティングに取り組みたい企業に対して、基盤を構築するクリエイティブ分野から、集客するマーケティング分野、顧客化・CRMのためのテクノロジーの分野、優良顧客を見つけLTVを改善するデータサイエンスの分野まで、4つの事業領域を一気通貫で対応し、生活者を不安なく快適に効率よく購買導線まで導くことができる。
(1) クリエイティブ事業
クリエイティブの領域においては、2023年8月にWebサイトの制作など企業のDXをコンサルティングするデジタルマーケティング事業を運営する3社を子会社化し、全国の中小企業から大企業までの領域をカバーする体制を構築した。マイクロウェーブクリエイティブが年間100社近くの大手企業のWebサイト構築、クリエイティブ制作を担っている。また、JITTが年間3,000件以上の全国の中堅・中小企業のWebサイトを構築しており、この2社で全国の中小企業から大企業までのニーズに合った生活者との場を作り上げている。また、CRAFTは、マーケティング業界をリードするコンサルタントが多数在籍し、卓越したクリエイティブやLPO(ランディングページ最適化)とデモグラフィックデータやエリアデータなどの多様なデータを活用した高度なデータ分析ノウハウにより、高い収益性と顧客満足度を実現しており、グループの内製化によるトータルサービスの品質向上を実現する。
(2) マーケティング事業
マーケティングの領域においては、2023年5月に子会社化したSAKIYOMIが、ソーシャルメディア・マーケティングのプロ集団として、Instagramアカウントの構築、コンテンツの運用、重要変数にフォーカスしたダッシュボードにより未経験者でもプロの分析・運用が可能なInstagram分析ツール「SAKIYOMI」の導入により、1,500社以上の顧客の認知度を高め、生活者の目に触れるように支援している。
(3) テクノロジー事業
テクノロジーの領域においては、Web接客SaaSとして「CODE Marketing Cloud」「KaiU」を、エントリーフォーム最適化SaaSとして「f-tra EFO」「GORILLA EFO」「EFO CUBE」を、WebチャットボットSaaSとして「sinclo」を、LINEマーケティングSaaSとして「hachidori」などの各種ツールを提供している。
・Web接客SaaS
「CODE Marketing Cloud」は同社の主力商品であり、それまで培ってきたCX向上ツールを統合・発展させたツールとして2018年7月にリリースした。サイト内でのユーザーの行動情報・購買情報を分析し、最適なタイミングでポップアップバナーなどの適切なコンテンツを自動提示するなど、一人ひとりの行動履歴や志向性に応じた1to1コミュニケーションを実現する。CX(顧客体験)とロイヤリティの向上に寄与するWeb接客ツールを提供するSaaSである。このツールは、自らが取得するサイト内の行動データをはじめ、Google Analyticsなどの解析ツールやマーケティング・オートメーションツールのデータや、顧客が管理してきた顧客情報などを収集・統合して利活用できる。
「KaiU」は2023年1月にサブスクリプションファクトリーより取得した。離脱防止ポップアップ、Web接客ポップアップ、チャット連携などきめ細かなセグメントやカスタマイズ設定が可能であり、Webページからの離脱操作やそれ以外の動作トリガーの条件設定によりバナーがポップアップするなど、ユーザーのサイト回遊率、見込客の顧客へのコンバージョン率を向上させるツールである。また、顧客のリソース不足に対応するため、運用シナリオ作成、設定、テスト、レポーティングなどツール運用の代表的な作業をすべて代行するオプションも提供している。「CODE Marketing Cloud」と同種のSaaSであるが、累計で1,400以上のサイトに導入されている評価の高いツールであり、継続率も2022年度で96%以上と高く、同社のCXデータの質と量をさらに充実することができるうえ、他のEFOツール、チャットボットなどとのクロスセルが期待される。
・エントリーフォーム最適化SaaS
同社の主力「f-tra EFO」は2013年2月にリリースした。PCサイトまたはスマートフォンサイト内に設置されたエントリーフォームの入力支援機能を提供するツールで、「CODE Marketing Cloud」に含まれる一部機能を独立して提供するSaaSである。ユーザーの最終アクションであるエントリーフォームへの入力作業において、ユーザーの離脱を防止するため、入力形式の指示やエラー表示によってエントリーフォームを最適化し、ユーザーの入力ストレスやミスの低減を通してフォーム完成率を向上させ、コンバージョン率を改善する。
エントリーフォーム最適化ツールとしては、そのほか2022年2月にコミクスから譲り受けた「EFO CUBE」と、2022年9月にブルースクレイ・ジャパンから譲り受けた「GORILLA EFO」を提供する。「EFO CUBE」は、強力なデータ解析機能を持ち、「GORILLA EFO」は充実した入力支援機能やチャットフォーム機能を持ち、それぞれクライアントのCVR※の最大化に寄与する。
※CVR:Conversion Rateの略。Webサイト訪問者が、実際に商品を購入するなど顧客化する割合を指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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