為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、米雇用情勢を見極める展開
*14:29JST 為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、米雇用情勢を見極める展開
【今週の概況】
■ドル強含み、株安一服でリスク回避の円買い縮小
今週の米ドル・円は強含み。米国による関税賦課は米ドルの安全資産としての価値を高めるとの見方は特に変わらず、米国経済の軟着陸への期待も持続していることから、リスク回避の米ドル売り・円買いは縮小。米経済指標の悪化を受けて長期金利は低下し、米ドル・円は一時148円台半ばまで円高・米ドル安に振れたが、株安を受けて日本の長期金利は低下したことから、リスク回避の米ドル売り・円買いは一服した。
28日のニューヨーク外為市場で一時ドル・円は150円99銭まで上昇する場面があった。この日発表された1月PCEコア価格指数の伸びは鈍化したが、市場予想と一致し、米国の金利見通しに大きな影響を与えないとの見方が浮上した。米長期金利は弱含みとなったが、米国株式の上昇を意識してリスク回避の円買いは縮小。米ドル・円は150円60銭でこの週の取引を終えた。米ドル・円の取引レンジ:148円57銭-150円99銭。
【来週の見通し】
■ドルは下げ渋りか、米雇用情勢を見極める展開
来週のドル・円は下げ渋りか。日本銀行の植田総裁は長期金利の上昇を抑制する方針だが、今後も経済物価情勢が見通し通りに改善していけば利上げを続けていく姿勢を維持している。将来的な利上げを見込んで市場における円買い圧力は失われていないが、短期的には米雇用情勢の強さを見極める相場展開となりそうだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)は追加緩和に慎重であり、利下げ再開は6月以降となる可能性が高い。3月7日に発表される2月雇用統計は当面の政策金利見通しに影響を及ぼすため、重要な手掛かり材料となりそうだ。2月雇用統計は前回1月との比較で失業率は横ばい、非農業部門雇用者数は小幅な増加となる見込み。2月雇用統計が市場予想を上回る強い内容だった場合、追加利下げ観測は後退し、リスク選好的なドル買いが強まるだろう。米トランプ政権は貿易相手国・地域に対する関税引き上げの方針を強めており、米ドルの安全資産としての価値を高めているとの見方があることもドル売り・円買いを抑制する一因となりそうだ。
【米・2月ISM製造業景況指数】(3月3日発表予定)
3月3日発表の2月ISM製造業景況指数は50.5と、節目の50を上回る公算。ただ、前回の50.9を下回ると予想され、市場予想を下回った場合、ドル売り要因となろう。
【米・2月雇用統計】(3月7日発表予定)
3月7日発表の2月雇用統計は失業率が4.0%、非農業部門雇用者数は前月比+15.5万人程度と予想される。市場予想を上回り、雇用の力強さが維持できればドル買いの可能性も。
予想レンジ:149円00銭-152円00銭
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