フォーバル Research Memo(7):人的資本経営のトップランナーとしてISO認証を取得(国内7社目)
*12:47JST フォーバル Research Memo(7):人的資本経営のトップランナーとしてISO認証を取得(国内7社目)
■成長戦略・トピック
1. 人的資本経営のトップランナーとしてISO認証を取得(国内7社目)
人的資本経営は、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方であり、中小企業にとってもその取り組みや開示の重要性が高まっている。フォーバル<8275>では、人的資本経営が叫ばれる以前から、働き方改革、健康経営、ダイバーシティ・ 女性活躍推進、キャリア開発・ 社員支援制度など様々な観点から取り組みを行ってきた。同社固有の基本方針である「幸せの分配(会社の努力によって得た利益の増加分は、株主と会社と社員で3等分する)」は、人的資本経営を率先して実践してきた証と言えるだろう。
2023年2月には、所属する5名が「ISO 30414リードコンサルタント/アセッサー」認証を取得し、中小・小規模企業が人的資本経営を導入する上での正しい知識と適切なアドバイスを提供する体制を整えた。2023年12月には、人的資本に関する情報開示のガイドライン「ISO 30414」の認証を取得した。「ISO 30414」は国際標準化機構が発行した人的資本の情報開示に関する国際基準である。企業における人事・組織・労務に関する人的資本の情報について、定量化し、分析し、開示するための国際的な指標として設けられたガイドラインであり、この認定を取得することで、投資家などの各ステークホルダーは人的資本情報を定量、定性の両面から把握することが可能となる。同社は国内7社目の認証企業であり、中小企業のお手本となるべくこの分野の先頭を走る。
この他にも、人的資本経営 コンソーシアム(2022年10月 加入)、健康経営アライアンス (2023年8月 加入)、Myじんけん宣言(2023年5月 宣言)などへの加入・参加を通して人的資本経営を積極的に推進している。
2. F-Japan戦略:産官学を巻き込んだ“DXの地産地消”が各地で進展
同社は、2022年3月期に新戦略として“F-Japan戦略”を掲げ取り組みを開始した。これまで行ってきた中小企業に対するアイコンサービスを発展させ、DX(デジタルトランスフォーメーション)およびGX(グリーントランスフォーメーション)の支援を融合・進化させ、“GDX(グリーンデジタルトランスフォーメーション)”を支援領域とした。この戦略は、政府の掲げる「経済財政運営と改革の基本方針」の中の4つのテーマ((1)グリーン、(2)デジタル、(3)活力ある地方創り、(4)少子化対策)にフォーカスしているが、いざ中小企業においては課題が大きい。取り組む必要性の認識が不足していたり、情報・人材・資金力・時間なども不足しているのである。そこで、長年、中小企業の経営改善に取り組んできた同社では、新たに今後2030年を見据えたテーマとして「中小企業のGDXの伴走型アドバイザーとして確固たる地位を確立」を宣言し、全国的に、地域の自治体や関係企業、団体、個人を巻き込みながら推進することを宣言した。これまでの同社のアイコンサービスは、首都圏や大都市圏が中心だったがF-Japan戦略では地方が主戦場となり、民間と民間の関係が主体だったものが、産官学連携が基本となる点など、大きな戦略転換と言えるだろう。「産」については、すでに25都道府県にF-Japan戦略支部(子会社・パートナー企業などを含む)が設置され、地域密着の伴走型支援が可能となっている。「官」においては、地方自治体にデジタル専門人材を派遣(全国11自治体で実績)し、地方自治体のDX支援・連携事業(2024年3月期上半期18自治体で実績)を行った。「学」については、既に5つの大学・専門学校と連携協定を結び、地域でDX人材を育成するカリキュラム・講座をスタートさせている。将来的には、地域でDX人材が育ち、地域内で働ける環境を構築し、“DXの地産地消”を推進する構想である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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