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日本創発G Research Memo(4):優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げるM&A戦略

2024年04月12日 13:04 銘柄/投資戦略

*13:04JST 日本創発G Research Memo(4):優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げるM&A戦略 ■事業概要

2. グループ構成
日本創発グループ<7814>はM&Aを活用して業容を拡大しており、2023年12月期末時点でグループは純粋持株会社である同社、連結子会社36社、持分法適用子会社9社、持分法適用関連会社4社、持分法適用外関連会社11社、合計60社で構成されている。

2023年12月期のM&Aとしては、2023年3月に(株)バックストリートを持分法適用関連会社化、6月に(株)グレートインターナショナルを連結子会社化、持分法適用関連会社だった飯島製本(株)の株式を追加取得して連結子会社化(2023年9月に完全子会社化)、12月に(株)ゴーゴープロダクションの株式を取得して子会社化した。一方で、6月に持分法適用非連結子会社の(株)キョーコロの株式を譲渡して持分法適用の範囲より除外した。また7月に連結子会社の日経印刷(株)が日経印刷の完全子会社である日経土地(株)を吸収合併、11月に連結子会社の東京リスマチックが持分法適用非連結子会社の(株)ビアンコを吸収合併、12月に東京リスマチックが連結子会社の(株)アスティを吸収合併した。

2024年12月期は、2月に共同製本(株)が同社の連結子会社である成旺印刷(株)を吸収合併し、合併に伴って共同製本が交付する株式を同社が取得して共同製本を連結子会社化した。また望月印刷(株)の株式を取得して連結子会社化、(株)アスコムの第三者割当増資を引き受けて連結子会社化した。

なお、持分法適用関連会社のイメージ・マジック<7793>は2022年3月に東証マザーズ(現 東証グロース)に上場している。持分法適用外関連会社の(株)アルファコードは、VR映像化や配信データ制作などを行うベンチャー企業で、映像関連企業であるWOWOW<4839>や日本テレビホールディングス<9404>などから総額16億円超の資金調達を行っている。

同社はM&Aも活用して業容を拡大しているが、規模の拡大だけをM&A戦略の目的としているわけではない。デジタル化の進展など事業環境の変化に迅速に対応し、グループシナジーによって成長分野での高付加価値サービスの提供を推進するため、持ち込まれたM&A案件から対象企業を厳選し、優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げることによって、伝統的な印刷製造技術のみならず、什器などのプロダクトを含む多様なデザイン力、3D-CAD・3D-CGを軸とする映像クリエイティブ力、立体音響、AR・VRを含むIT構築力などの高い専門技術を有し、クリエイティブサービスに係る企画、印刷、コンテンツ・プロダクツ制作、オンラインプロモーション、メディア配信、効果測定、運用改善コンサルティングなどをトータルでカバーできる「創るチカラ」が集まったプロフェッショナル・グループというユニークな企業体を構築している。

2022年12月期にグループ入りした会社のうち、印刷分野では、(株)リングストンはショップバッグを中心にパッケージ・包装資材及び販促商品の企画・製造・販売を行っている。

ITメディア セールスプロモーション分野では、(株)ダイアモンドヘッズはブランド戦略の立案、キャンペーンやプロモーションの企画、グラフィック・WEB・ムービーの制作など幅広い事業を展開している。(株)バークインスタイルは2008年9月にモデルマネジメント事業として創業し、150名を超える所属モデルからトップモデルを多数輩出している。(株)ワン・パブリッシングは「GetNavi」や「ムー」など広く深く認知されている定期雑誌ブランドを保有し、電子書籍やSNSなどの分野にも展開している。大光宣伝(株)は屋外広告・交通広告を中心にトータルセールスプロモーションを展開する専門会社で、優良な顧客基盤を構築している。ジャパンブロードキャストソリューションズ(株)(以下、JBS)は、放送局・博物館・スタジアム・劇場・学校などの施設向けエンジニアリングサービスをコア事業としている。

2023年12月期にグループ入りした会社のうち、ITメディア セールスプロモーション分野のバックストリートは、映像・イベント・音楽・グラフィックを中心に様々なニーズに応えるプロデュースを行い、主に幼児向け映像コンテンツを企画・制作している。グレートインターナショナルはテレビ番組のクリエイティブワークを祖業としたデザインプロダクション企業である。ゴーゴープロダクションは、着ぐるみの企画・制作・販売から着ぐるみショーのプロデュース・公演、パフォーマーの教育・派遣まで、着ぐるみに関する総合サービスを展開する「モノづくり×エンターテインメントの総合プロダクション」である。印刷分野の飯島製本は1921年に創業し、100年以上の歴史を持つ愛知県名古屋市の総合製本会社である。中京圏の3工場のほか、関東圏と関西圏にも各1工場を有し、業界トップレベルの生産能力を保持している。

2024年12月期にグループ入りした会社のうち、共同製本(2024年4月よりPL連結開始)は印刷物加工・製本・発送・管理など関連サービスを展開している。創業以来110余年の業歴を通して培った高品質の造本技術を有し、特に厚物製本に強みを持つ企業である。雑誌・書籍・教科書・絵本・カタログ・カレンダーから学校教材・見本帳まで広範な営業品目を備え、後加工・アッセンブリサービス・輸送納品まで含めたワンストップサービスを提供している。望月印刷(2024年4月よりPL連結開始)は埼玉県を地盤として地域に根差した印刷事業を展開している。アスコム(2024年4月よりPL連結開始)はビジネス・経済・教育・生活実用ジャンルの書籍出版などを展開している。創業以来培ってきた有名企業や著名人との信頼関係に加え、高い企画力・編集力を原動力として、出版業界を取り巻く厳しい環境下でも20万部以上のヒット作を出せる実力を持つ出版社である。

なお同社は、2021年12月期に関西エリアの兵庫県西宮市で最大規模を誇る小西印刷を子会社化、2022年12月期に大阪市に本社を置くJBSを子会社化、奈良県などを中心に展開する大光宣伝及び(株)大宣工房を子会社化、2023年12月期には中部エリアを地盤に関東・関西エリアにも展開する飯島製本を子会社化するなど、首都圏以外におけるM&Aも積極化している。特に重点エリアを特定しているわけではないが、結果的に関東・中部・関西の各エリア内においてシナジー創出を高める体制が構築されつつある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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