粧美堂 Research Memo(6):2025年9月期は2ケタ営業・経常増益予想(2)
*14:06JST 粧美堂 Research Memo(6):2025年9月期は2ケタ営業・経常増益予想(2)
■粧美堂<7819>の成長戦略
2. 2022年9月期~2026年9月期は発展期
さらに、2019年9月期~2021年9月期の改革期に得られた成果をベースに、セカンドステージの2022年9月期~2026年9月期を発展期と位置付け、総合メーカー化の促進、経営基盤の更なる強化により、「心と体の美と健康をサポートする」総合企画メーカーとして「粧美堂」ブランドを確立する方針としている。
営業利益率10%に向けて深堀する重点施策として、売上高の拡大では、重点カテゴリーをメイクアップ、ネイル、キッズ、ヘアケアなどとして、データ・マーケティング機能のさらなる充実によって販売精度の向上を図り、ニッチ分野シェアNO.1カテゴリー数を拡大する。また「モノづくりのパートナー」としてのOEMビジネスや、ECビジネスも強化する。ECビジネスは、これまではコンタクトレンズが中心だったが、今後は化粧品・化粧雑貨の販売も強化する。売上総利益率の向上では、ヒット商品の企画開発と集中販売による発注ロットの大型化、高付加価値・高価格帯商品への挑戦を推進する。販管費率の低下では売れ筋商品拡販による販売効率の向上、DXなどの活用による生産性向上を推進する。物流戦略としては、現在は大阪府箕面市に2拠点を保有しているが、施設の老朽化も考慮して、出荷業務などを3PL専門事業者に業務委託(2024年より本格開始)することにより、物流コストの変動費化や低減を進める。
さらに「粧美堂ブランド」の一層の価値向上を図るため、商品力の向上に加え、SNSの活用や有名インフルエンサーとのコラボレーションなども推進しており、同社資料(出典:(株)マクロミル「コーポレートブランド認知度調査」(2024年6月)によると、同社の企業名の認知度は2021年の12.5%から2024年の21.8%へ9.3ポイント上昇した。特に同社が主たるユーザー層とする女性15~19歳で32.0%、男性15~19歳で29.1%と高い認知度になっている。
なお、創業家出身である3代目社長の寺田正秀氏(現代表取締役社長)は現在47歳と若く、過去数年間の同社の体質改善において陣頭指揮を執り、高い指導力を発揮してきた。創業家の持株比率は約6割と高いことから、大胆かつ迅速な意思決定が可能となる。
株主還元は配当性向40.0%を目途
3. 株主還元策
同社は株主還元の基本方針として、配当性向40.0%を目途として、今後の利益成長に合わせて増配を積極的に行っていく予定である。この基本方針に基づいて、2024年9月期の配当は前期比5.0円増配の22.0円(第2四半期末10.0円、期末12.0円)とした。連続増配で配当性向は37.5%となる。そして2025年9月期の配当予想は前期比1.0円増配の23.0円(第2四半期末11.5円、期末11.5円)としている。3期連続増配で予想配当性向は39.0%となる。今後も業績拡大に伴って増配基調が期待できると弊社では考えている。
株主優待制度については、毎年9月30日現在の300株以上保有株主を対象として自社企画商品を贈呈する。また長期保有株主優待として、300株以上を3年以上継続保有している株主に対して自社オリジナルデザインのクオカード1,000円分を贈呈する。また企業価値向上に向けたIR活動についても、アナリスト向け決算説明会や個人投資家向け会社説明会の開催、ラジオ・Web番組への出演などを通じて企業情報の発信を強化している。IRミーティングは3年間で約2倍に増加した。
コンタクトレンズの空容器回収などを推進
4. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営については、コンタクトレンズを取り扱う企業として、使い捨てコンタクトレンズの空容器回収を、大阪公立大学公認団体「環境部エコロ助」の学生の協力を得て進めている。また、一般社団法人F・マリノススポーツクラブの新事業「SHIBA-Up」を、横須賀市への寄附を通じて支援している。「SHIBA-Up」は、そのままでは海に流出して海洋プラスチックごみとなってしまう人工芝片を拾い集め、スポーツの現場で活用できるマーカーコーンなどにリサイクルする新事業である。
収益力向上に向けた改革期の成果を評価、成長戦略の進捗状況に注目
5. 弊社の視点
同社は収益力向上に向けた改革期の「選択と集中」戦略により、社員一人当たり営業利益が飛躍的に増加(2023年9月期実績は2018年9月期比で約5.1倍に増加)するという成果を実現しており、弊社ではこの点を高く評価している。化粧品、化粧雑貨、服飾雑貨の市場は人気・トレンドの変化が激しいうえに、為替変動リスクにも注意が必要となるが、同社は発展期と位置付ける2022年9月期~2026年9月期も「モノづくりのパートナー」として、OEMビジネス拡大を含む重点販売先戦略や自社企画商品拡販戦略を推進している。さらに2024年10月の商品企画セクションの組織変更によって商品企画・開発力や営業展開力を一段と強化するなど、ニッチ分野シェアNO.1に向けた注力カテゴリーの商品開発・プロモーションを強化している。こうした戦略の成果として収益力が一段と向上する可能性があり、弊社では引き続き成長戦略の進捗状況に注目している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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