エアーテック Research Memo(7):国際的なトップ企業として2026年までに売上高180億円を目指す
*12:47JST エアーテック Research Memo(7):国際的なトップ企業として2026年までに売上高180億円を目指す
■中期経営計画
日本エアーテック<6291>は2021年11月に5ヶ年(2022年12月期~2026年12月期)の中期経営計画を策定した。「世界に通用するクリーンエアーシステム技術を確立し社会に貢献する」という社是のもと、「標準・準標準品の売上比率向上」「差別化(ハード、ソフト、創造)による脱価格競争」「グローバル化」「新市場への進出」
「サステナビリティ経営への取組み」の5つの中長期基本方針を定めた。
「標準・準標準品の売上比率向上」については、従来顧客の要望に応じた設計・製作が可能であることを強みとしてきたが、規模拡大と利益率の両面を追ううえで標準品売上比率向上を第1目標とし、さらに特殊注文にも対応できる経営に舵をきっている。2021年1月以降越谷新工場で感染症対策各製品、エアーシャワー、クリーンベンチの標準品の生産を開始した。そのほか、標準品のコスト削減を図るために組立工数を大幅に低減する省配線システムの随時導入、部品の安定供給のため送風機の自社開発や複数社購買等も進めている。2022年度で、標準製品の販売比率は60.4%と60%以上を維持しており、今後も継続する方針である。
「差別化(ハード、ソフト、創造)による脱価格競争」については、性能、仕様、品質、デザイン、省エネ等のハード面と、営業、サービス、技術、論文、技術資料、納期等のソフト面で差別化を図り、ブランド価値の向上を推進する。
「グローバル化」については、現在海外7ヶ国で8社と提携し、同社は技術支援を基に共同受注することもある。コロナ禍では輸出後の据付作業のみならず、現地での生産まで移管する等多種多様な業務を提携して行っていた。2021年には中国蘇州の関係会社に増資し、新工場を立ち上げた。今後は米国への進出を検討しており、初期調査を開始したところである。
「新市場への進出」については、年々拡大する空気清浄を必要とする市場において、その基幹技術である高性能フィルターの需要も拡大することから、フィルター製造を専門とする赤城スマートファクトリーを建設し、従来よりも生産能力を50%増強して2022年8月から稼働している。また、2020年からの感染症対策製品の拡販において、新たな市場・販売店網・顧客との接点を広げている。この関係を深耕しながら2020年より介護福祉施設向けに、さらに2021年より教育施設等の一般環境への営業を行っている。
また、上記の基本方針のもとで、次の具体的な4つの目標の達成を目指している。
1) クリーンエアーシステムにおいて国内でのシェアをさらなる拡大を目指す。さらにフィルター事業を拡大し、国際的なトップ企業となる。
・業界全体の市場(800~900億円)のシェアを22%以上に引き上げる
・主力製品の国内市場シェアアップを図る
2) 2026年までに売上高180億円、営業利益率10%以上を確保する。
3) 標準製品の販売比率を60%以上とする。
・全工場で同工数・同品質で生産可能な体制を目指す
・売上の増大に合わせて工場拡張や物流センター新設等の計画に入る
4) 研究所を再設し、創造的な製品開発・研究を行い、より多くの特許を出願する。
主力製品の国内シェアは、クリーンベンチを44%から50%以上へ、クリーンブースを51%から65%以上へ、エアーシャワーを33%から40%以上へ、ファンフィルターユニットを43%から50%以上へ、安全キャビネットを36%から50%以上へ、HEPA/ULPAフィルターを5%から10%以上へ引き上げる目標だ(シェアの割合は同社推定値)。2022年12月期末では、ファンフィルターユニットのシェアは、半導体・電子分野からの受注により60%台となり、HEPA/ULPAフィルターや半導体製造装置用のPTFEフィルターも10%のシェアを達成した。
なお同社は、中期経営計画達成のため分科会プロジェクトを設置した。1) 東証プイラム市場上場維持、2) M&A、3) HEPAフィルターの拡販、4) 国内拠点拡充、物流改革、5) 人材開発、6) 米国進出(グローバル化)の6件のプロジェクトを立ち上げ、テーマごとの検討とともに、プロジェクト同士で連携・情報交換しながら推進している。また。中堅・若手職員が参加することで、会社全体を俯瞰し、事業・経営センスを学べる仕組みにしている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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