インテリックス Research Memo(7):2025年5月期通期業績を上方修正、2期連続増収増益の見通し(1)
*13:07JST インテリックス Research Memo(7):2025年5月期通期業績を上方修正、2期連続増収増益の見通し(1)
■インテリックス<8940>の今後の見通し
1. 2025年5月期業績の見通し
2025年5月期の連結業績は、売上高で前期比8.6%増の46,365百万円、営業利益で同121.6%増の2,063百万円、経常利益で同178.4%増の1,691百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同197.4%増の1,231百万円と期初計画から上方修正した。中間期までの業績が、リノベーション事業分野、ソリューション事業分野ともに計画を上回って進捗しており、中間期までの上振れ分を通期業績見通しに加味した。下期業績は期初計画を据え置いている。中間期の営業利益1,736百万円に対して、下期は326百万円と落ち込む見通しだが、好採算の一棟収益物件が無くなるためだ。
事業セグメント別ではリノベーション事業分野、ソリューション事業分野ともに増収増益となる見通し。リノベーション事業分野では、リノヴェックスマンションの売上高で前期比10億円増の332億円を見込んでいる。中間期は販売件数の減少により減収となったが、下期は販売件数、販売単価が上向く見通しだ。ただ、手持ち在庫の水準等から下期の販売件数は期初計画の609件をやや下回る可能性が高いと弊社では見ている。このため、売上高については若干下振れリスクがあるが、リノヴェックスマンション販売の下期の売上総利益率は12.5%を見込んでいるが、中間期で13.4%の水準まで回復していることを考慮すれば上回る可能性が高い。このため、売上高が下振れしたとしても利益ベースでは計画を達成できるものと予想される。リノヴェックスマンションの仕入活動については、引き続きデータを活用しながら優良物件を適正価格で仕入れるほか、従来はあまり手掛けてこなかった高価格帯の物件についても積極的に仕入れる方針だ。
その他収入については、下期も増収増益基調が続く見通し。リノベーション内装工事は前期比横ばいの21億円を見込んでいるが、法人向けの需要が引き続き堅調なことから計画を若干上回る可能性がある。また、中間期に大きく伸張した買取再販共同事業についても、引き続き順調に推移する見込みだ。
一方、ソリューション事業分野における物件販売の内訳を見ると、一棟収益不動産物件の販売で前期比23億円増の41億円、アセットシェアリング事業で同1億円増の13億円、リースバック事業で同21億円減の10億円を見込む。アセットシェアリング事業では下期に「アセットシェアリング札幌II」を販売し、8.4億円の売上を第4四半期に計画している。リースバック事業については前期に実施した流動化案件(18億円)の組成予定がないため減収となる見込みだ。その他収入については、ホテル事業の高稼働が継続するほか収益物件共同事業も堅調推移が見込まれることから前期比で2ケタ増収増益となる見通しである。
販管費は前期比15.0%増の5,636百万円、金額ベースで736百万円の増加を計画している。引き続き販売費や人件費、教育研修費等の増加を見込んでいることに加えて、下期は創立30周年記念費用として1.5億円を織り込んでいる。なお、2025年2月に本社入居ビルの建て替えに伴い、同じ渋谷区内に本社を移転した。新オフィスでは新たなワークスタイルの導入により、社内コミュニケーションの活性化、業務の効率化、多様な人材の確保を目指すとともに、従業員エンゲージメントの向上により企業価値向上につなげていく考えだ。
両利き経営の実践により、中長期的な企業価値向上を目指す
2. 重点施策の進捗状況
同社は「既存主軸事業の収益化」と「先行投資事業の拡充」による『両利き経営』を実践することで筋肉質な経営基盤を構築し、効率性と収益性の向上によって中長期的な企業価値向上を目指している。また、2025年5月期は「人的資本経営の推進」にも重点施策として取り組み、従業員エンゲージメントを高めることで1人当たりの生産性向上を図り、持続的な成長を目指す。
(1) 既存主軸事業の収益化
a) リノベーション事業分野
リノベーション事業分野では、既述のとおり前期に長期滞留物件の早期売却を進め、事業期間の短縮に取り組んだことで収益性も回復した。今後も仕入から販売までの各プロセスの効率化を図り、事業期間を2025年5月期中間期の163日から150日まで短縮することを目指す。また、商品戦略としては需要が旺盛な高価格帯物件の仕入強化と省エネリノベーションの積極推進により差別化を図る。
仕入体制については、かつては属人的な体制で行ってきたため、人材の流動による影響を受けていた。今後は需要の見込めるエリアや条件、価格帯などを様々なビッグデータを活用して分析することで、収益化が見込める優良物件を適正価格で仕入れができる組織体制の構築に取り組む。このため、営業人材について従来は豊富な経験を持つキャリア採用が中心であったが、2024年以降は新卒社員を積極採用し育成しながら組織力を強化する方針に転換している。新卒社員は従来、年間数名程度であったが、2024年は23名と過去最多人数を採用し、2025年春も同水準の採用を予定している。
b) ソリューション事業分野
ソリューション事業分野では、今後も不動産小口化商品「アセットシェアリング」シリーズの販売やホテル事業の高稼働率維持に取り組むことで持続的成長を目指す。リースバック事業は仕入力を強化するため、認知度向上に向けたプロモーション強化(テレビCM、Webマーケティングの活用)とセンチュリー21グループや大手電鉄系不動産仲介会社等との連携強化を図る。これら多様な事業ポートフォリオを構築することで収益機会の安定化に取り組む。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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