クラウドワークス---高い利益成長と株主還元が魅力
*17:00JST クラウドワークス---高い利益成長と株主還元が魅力
クラウドワークス<3900>は、日経平均株価が一時4,000円超の暴落となった8月5日において、グロース銘柄で2銘柄のみ株価が前日比プラスとなった中で、一時ストップ高となり、終値8.5%プラスとグロース銘柄中での値上がり率1位となった。好決算と初配当・株主還元が好感された格好だ。
同社は「個のためのインフラになる」をミッションに、「世界中で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる」をビジョンとし、日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」をはじめとした企業と個人をつなぐマッチングプラットフォームを開発・運営。2024年6月末 時点で登録ユーザー数は654.8万人(前年同期比+79.1万人)、登録クライアント数は99.0万社(前年同期比+7.3万 社)となり、政府による賃金上昇を伴う円滑な労働移動に向けた法制度整備の進展を追い風とし、ライターやデザイナー、エンジニアなどの多様なスキルを持つフリーランサーや副業人材と企業のマッチングを通じて、企業の生産性向上を支援している。2014年に東証マザーズ上場、2022年の市場再編で東証グロース市場へ(証券コード3900)、2015年には経済産業省 第1回「日本ベンチャー大賞」ワークスタイル革新賞および、グッドデザイン・未来づくりデザイン賞を受賞。
同社のクラウドソーシング(マッチング)サービスは、ダイレクトマッチング(プラットフォーム領域)とエージェントマッチング(エージェント領域)の2つの形式に分かれている。プラットフォーム領域では、企業とフリーランスが直接契約を結び、システム利用料として同社が手数料を収受する。一方、エージェント領域では、クラウドワークスのエージェントが介在し、業務委託料から手数料を差し引いた金額を収益としている。2024年9月期の第3四半期累計における売上高(構成比率)は、プラットフォーム領域が1,446百万円、エージェント領域が10,344百万円。
また、同社では企業の生産性向上や人材管理を支援するためのソフトウェアサービスであるビジネス向けSaaS事業も提供している。SaaS事業の2024年9月期の第3四半期累計における売上高(構成比率)は、619百万円となっている。
8月2日には2024年9月期の第3四半期決算を発表している。売上高は前年同期比28.1%増の12,409百万円、営業利益は同30.4%増の1,070百万円となった。マッチング事業はエージェント領域をけん引役として、取引額の総額を示すGMV(流通取引総額)で20,598百万円(同21.6%増)、売上高で11,790百万円(同25.9%増)、セグメント利益は1,077百万円(同10.2%増)。ビジネス向けSaaS事業は売上高で531百万円(同80.0%増)、セグメント損失で69百万円(前年同期のセグメント損失は187百万円)。2024年9月通期の予想は、売上高で前期比20.1%増の15,860百万円、営業利益で同10.1%増の1,270百万円であり、第3四半期決算は高い成長と達成率を見て取れる内容だ。
また、同社では決算と同時に、同社としては初の配当と株主優待の発表を行っている。売上高・売上総利益ともに大きく伸長、EBITDA(Non-GAAP)・営業利益においても安定的に成長しており、増収・増益を継続できる企業体質へと進化してきたと判断できたという。年間(期末)配当は1株あたり18.00円(配当利回り1.53%。8月8日終値にて算出)である。株主優待は上場10周年記念優待として実施し、2024年12月末日に300株以上を保有する株主に対して、QUOカード15,000円分が贈呈される。配当と優待を合算した利回りは5.78%(8月8日終値にて算出)。同社では、安定的な配当を実施していくことに加え、今後は1年以上の長期保有個人投資家向け優待の充実および機動的な自社株買いの実施も継続的に検討する方針。具体的な来期以降の方針は未定であるが、株主優待の振り替わりなども含めて、何らかのアナウンスが期待される。比較的高いインカムゲインを確保しながら、成長(キャピタルゲイン)を待てるという意味では、稀有な存在といえるだろう。
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