粧美堂 Research Memo(2):「心と体の美と健康をサポートする」総合企画メーカー
*14:02JST 粧美堂 Research Memo(2):「心と体の美と健康をサポートする」総合企画メーカー
■会社概要
1. 会社概要
粧美堂<7819>は1948年創業で、企業理念に「笑顔を、咲かせよう。」を掲げ、世界中の多様な個人の「心と体の美と健康をサポートする」ことを使命として、化粧品・化粧雑貨を中心に、日常生活で気軽に使えるメイクアップグッズなどのパーソナルケア商品を自社ブランド及びOEMで販売する総合企画メーカーである。
2024年9月期末時点の本社所在地は東京本社が東京都港区、大阪本社が大阪市北区で、物流拠点として大阪府箕面市に箕面物流センター及び箕面RDC(新物流センター)を置いている。総資産は14,427百万円、純資産は6,575百万円、自己資本比率は45.6%、発行済株式数は13,410,000株(自己株式200,227株を含む)である。グループは同社、及び連結子会社5社(ビューティードア(株)、SHO-BI Labo(株)、粧美堂日用品(上海)有限公司、その他2社)で構成されている。なお、中国でコンタクトレンズのEC販売を行っていた壹見健康科技(上海)有限公司については2024年1月に持分の一部を譲渡して連結子会社から除外した。
2. 沿革
1948年10月に創業者の寺田正次氏が大阪市東区博労町(現在の中央区)に化粧雑貨の一次問屋を創業、1949年12月に大阪市東住吉区に粧美堂(株)を設立、1960年に(株)ダイエーとの取引開始を機に総合スーパーの販路を開拓した。1975年5月に化粧小物の自社企画商品開発を手掛けるピオニオーナメント(株)(1980年12月に商号を(株)ピオニに変更)に出資、1996年6月に頭髪商品メーカーのツバキ(株)の株式過半数を取得して(株)サンリオとのライセンス契約を継承、1999年7月にウォルト・ディズニー・ジャパン(株)とライセンス契約を締結した。2001年5月にはパールストン(株)の株式過半数を取得し、従来からの総合スーパーの販路に加えて、地方総合スーパー・ホームセンター・ドラッグストアへと販路を拡大した。
その後、2006年1月に商号をSHO-BI Corporation(株)に変更、2006年7月にツバキ・ピオニ(株)(2003年4月にピオニがツバキを吸収合併)と東京粧美堂(株)(同社取締役の寺田一郎氏が1985年3月に設立した東京粧美堂とパールストンが2005年10月に合併)を吸収合併、2008年1月に商号をSHO-BI(株)へ変更、2012年1月に本社を東京都港区に移転、2013年4月にコンタクトレンズメーカーの(株)メリーサイトの全株式を取得(2018年10月に商号をSHO-BI Labo(株)に変更)した。
さらに2020年1月に商号を創業時の社名でもある現在の粧美堂に変更、2020年10月にビューティードアの親会社であるビューティードア・ホールディングス(株)の全株式を取得、2022年6月にビューティードアがビューティードア・ホールディングスを吸収合併した。
株式関係では、2009年9月にジャスダック証券取引所(その後の市場再編に伴い、大阪証券取引所JASDAQ市場、東京証券取引所(以下、東証)JASDAQ)に上場、2010年9月に東証2部に上場、2011年9月に東証1部に指定、2022年4月に東証プライム市場へ移行、2023年10月に東証スタンダード市場へ移行した。
■事業概要
化粧品・化粧雑貨を中心とするパーソナルケア商品を販売
1. 事業概要
同社は、Z世代のように低価格で手軽におしゃれを楽しみたい若年層女性をメインユーザー層として、化粧品・化粧雑貨(メイク関連用品、ヘアケア関連用品、トラベル用品、バス・エステ・健康関連グッズ等)を中心に、コンタクトレンズ関連(コンタクトレンズ、コンタクトレンズケア用品)、服飾雑貨(バッグ、ポーチ・ケース、サイフ類、キャラクター雑貨等)、その他(生活雑貨、文具、行楽用品、ギフト商品等)といった、自社ブランド及びOEMのパーソナルケア商品を幅広く取り扱い、これらの商品を全国の小売業者、卸売業者、一般消費者向け(EC通販)に販売している。なお、子会社のビューティードアは化粧品及び医薬部外品の受託製造、子会社のSHO-BI Laboはコンタクトレンズの受託製造、粧美堂日用品(上海)有限公司は同社の中国での協力工場の監査業務を受託している。
マーケティングから企画・デザイン・開発・販売・物流まで、一気通貫で対応可能な総合企画メーカーであることを特徴・強みとしている。マーケティング・商品企画・デザインの面では「DISNEY」「HELLO KITTY」「miffy」「ポケットモンスター」「CHIIKAWA」など、ライセンサー25社・許諾IP80以上という豊富なキャラクターライセンスを取得している。販売面では、小売業を中心に約220社(15,000店舗以上)との取引があり、特にディスカウントストアのドン・キホーテ、しまむら、西松屋、ドラッグストアのウエルシア、クスリのアオキ、スギ薬局、均一ショップのセリア、大創産業、バラエティストアのロフト、プラザ、総合スーパーのイオン、ユニーなどの各小売業態のトップ企業との太いパイプを有していることも強みである。
自社企画商品比率が80%台へ上昇して営業利益率も上昇
2. 売上高の推移
同社は、後述の成長戦略の項でも解説するように、収益力の向上に向けて2019年9月期より、固定費の圧縮によって損益分岐点の引き下げを図るとともに、販売先と商品の「選択と集中」を推進する戦略として、重点販売先(売上高上位20社)との取引拡大(OEMビジネス拡大も含む)や自社企画商品※拡販を推進している。OEMビジネスの粗利率はNBビジネス(自社ブランド商品)と比較して相対的に低いが、NBビジネスには在庫処分リスクがあるのに対して、OEMビジネスの場合は受注生産のため返品・在庫処分リスクがなく、安定収益源として貢献するメリットがある。
※ NB商品とOEM商品を合わせて自社企画商品としている。
全体としての売上高は、2020年9月期~2021年9月期にコロナ禍の影響を受けたものの、その後は回復して拡大基調となっている。製品・サービス別では特に化粧品、業態別では特にディスカウントストアと均一ショップの伸びが顕著である。また売上構成比の変化を2020年9月期と2024年9月期で比較すると、自社企画商品(OEMを含む)は73.5%から85.3%へ11.8ポイント上昇、製品・サービス別では化粧品が24.6%から38.7%へ14.1ポイント上昇、業態別ではディスカウントストアが17.9%から22.7%へ4.8ポイント上昇、均一ショップが14.7%から25.6%へ10.9ポイント上昇した。重点販売先20社合計の売上構成比は2022年9月期に70%台に乗せた。そして営業利益額はコロナ禍の影響を受けた2020年9月期の111百万円から2024年9月期の1,010百万円まで拡大し、営業利益率も0.8%から4.8%まで4.0ポイント上昇した。単にコロナ禍からの反動増による回復だけでなく、重点販売先戦略及び自社企画商品拡販戦略の成果が顕著に表れていると弊社では評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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