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日本コンセプト:タンクコンテナの専業オペレーター、配当利回り4%超え

2025年03月03日 12:10 銘柄/投資戦略

*12:10JST 日本コンセプト:タンクコンテナの専業オペレーター、配当利回り4%超え 日本コンセプト<9386>は、ISO標準規格の輸送容器であるタンクコンテナを使用し、危険物を含む化学品などの各種液体や液化したガスの輸送、輸送プロセスで必要となる加温や保管、積替え、納品後の空コンテナの洗浄や点検・保守、フロンガスの回収や再生・破壊など、タンクコンテナ輸送と輸送に関わる一連の附帯サービスを行っている。化学業界のサプライチェーンにおいては、中間原料・一次製品を輸送する役割を担う。同社は、世界の主要地域に設立した4つの現地法人を通じて、世界14カ国に張り巡らされた代理店網を統括。より広範な地域をカバーできる体制を構築しており、国内外の大手から中小にいたる化学品や石油製品のメーカーやそれらを扱う商社など多くの取引先と長期・安定的な関係を築いている。2024年12月期上期時点におけるタンクコンテナ基数・稼働率は、タンクコンテナ基数は9,883基(保有:8,330基、レンタル1,553基)、稼働率は65.4%で推移。レンタルは調整弁の役割で、稼働率に応じて機動的にリースイン・リースアウトを行っている。

2024年12月期の売上高は前年同期比5.4%増の18,229百万円、営業利益は同13.9%減の2,846百万円で着地した。国際輸送では、中国内需低迷の影響から1月から3月にかけての業績は厳しい状況だったが、4月に入るとアジアからの輸出を中心にコンテナ輸送による荷動きが全般的に活発になり、コンテナ船の積載スペース不足により海上運賃が上昇するなか第1四半期の遅れを概ね取り戻すことができたようだ。7月からは海上運賃が下落し始めて値下げ圧力も強まったが、需要を捉えてほぼ予算並みの取扱いを確保。高圧ガス事業では、重要拠点である新潟支店の稼働が計画より遅れていることもあり、目標には若干届かなかった。

2025年12月期では売上高で前期比9.4%増の19,939百万円、営業利益で同16.2%増の3,306百万円が予想されている。日本の輸出入は、既存顧客の動向を正確に捉え、グローバルネットワークも活用しながら新たな輸送需要をしっかり確保し、ケミカルタンカーからの切り替えなどモーダルシフトによる新規需要の掘り起こしも図っていく。国内輸送の新規案件獲得に一層注力するとともに、為替や海上運賃の影響を受けない国内輸送・附帯サービスによる安定利益の確保も目指すようだ。

同社の強みは、ワンウェイ輸送サービスを提供している点にある。顧客は、目的地まで片道運賃で輸送サービスを受けることができ、利便性も経済性も非常に高い。輸送の目的地において液体貨物を納品後にタンクコンテナを回収して洗浄し、帰り便を現地の別の顧客の液体貨物の輸送に提供することができる。三国間の輸送で調整することも可能となる。片道運賃で提供することを可能としているのは、創業以来培ってきた独自のグローバルネットワーク(同社の現地法人および代理店)によるもので、参入障壁は非常に高い。

また、2024年4月からトラック運転手の労働時間が制限されて運転手不足が懸念されるなか、トレーラーのみの陸上輸送から鉄道や内航船も組合わせた複合輸送(モーダルシフト)を行うことで長距離・長時間のトラック輸送及びドライバーの負担軽減が可能となる。タンクコンテナはドライコンテナと同サイズのため、鉄道や内航船、トレーラーといった様々な輸送手段にそのまま載せ替えることが可能で、市場環境も追い風となっている。さらに、一度に500~1,000トン輸送するケミカルタンカーからタンクコンテナへの切り替え、必要な時に必要な量だけ輸送ができるように提案を行っているという。今後は、引き続き代替フロンや二酸化炭素等の高圧ガス営業強化し、新規顧客の獲得も目指す方針だ。新潟支店も開設され、新潟港を活かした輸出入営業の強化を図っていく。

そのほか、株主還元では、財務体質の強化及び着実な事業拡大並びに設備投資等に配慮しつつ、業績に見合う配当を基本方針としている。2025年12月期から2026年12月期は、年間配当60円を下限としつつ業況を勘案しながら特別配当の実施も検討しているようだ。配当利回り4%を超える中、世界的にニーズが広がるタンクコンテナの専業オペレーターとして注目しておきたい。


<NH>

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