ドラフト Research Memo(7):2023年8月に上方修正、短期的・中長期的ともにプロジェクトの売上高が拡大
*16:37JST ドラフト Research Memo(7):2023年8月に上方修正、短期的・中長期的ともにプロジェクトの売上高が拡大
■今後の見通し
1. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の業績見通しについて、ドラフト<5070>は2023年8月に上方修正した。売上高で前期比26.7%増の10,500百万円、営業利益で同619.7%増の780百万円、経常利益で同756.2%増の750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で450百万円(前期は21百万円の利益)としている。
売上高については期初予想より500百万円、営業利益も期初予想を300百万円上回る見通しである。これは、コロナ禍からの回復基調を背景に短期的なプロジェクト及び中長期的なプロジェクトが拡大し、売上面では期初想定よりも積み上がったためである。利益面では、デザイン・設計単独プロジェクトなど利益率の高い案件獲得が進み、販管費はおおむね計画どおりとなる見通しから利益面は期初予想より大幅に上回る見込みとなった。同社は、引き続き安定した受注で長期的な売上計上が増加することを見込んでおり、修正予想を十分達成すると見ている。
2. 東京地区オフィス集約
同社グループでは、2022年11月24日の臨時株主総会にて2022年12月27日より東京都渋谷区から東京都港区へ本店を移転することを決議した結果、新オフィスに移転し、既に通常どおりの営業を開始している。同社グループの事業は、デザインのクオリティを高めるために、密なコミュニケーションが必要であるが、同社グループは、従前までは設計・デザイン部門、設計管理及び工事管理を行うコンストラクション・マネジメント部門などが分散しており、対面コミュニケーションがとりづらい状況にあった。各部門が新オフィスに集約することにより、社員同士が無駄のない、細かなコミュニケーションがとれるようになり、事業促進に良い影響をもたらしはじめている。また、新オフィスはこれからのオフィスの新しい在り方を同社自身が体現したものであり、単なる執務スペースではなく、新しいデザインをクライアントに体感してもらう空間を兼ねたブランディングの場となっている。
3. 週休3日制度の導入
同社グループでは、柔軟な働き方を推進する「週休3日制度」を2022年7月に本格導入した。週休3日制度を導入する企業では人件費抑制を伴う運営を選択するケースが多いが、同社グループでは、単なる人件費の削減ではなく価値創造の最大化を目的として、報酬維持型の週休3日制度を実現させた。当該制度を適用する従業員は、月額報酬や賞与などの年収水準を低下させることなく週当たりの就業日を従来の5日から4日とし、ライフステージや生活の環境変化に応じて、四半期ごとに利用を選択できる形式となっている。同社の週休3日制度は効率化による価値創造の最大化を目的としているため、制度の利用目的は問わない。そのため、資格取得や育児・介護、自らのキャリアのリセット期間など、様々な利用ケースがある。週休2日を選択した従業員は実質的に年収水準が上がる制度設計をしているため、人件費は増加する見込みであるが、人材戦略の一環として計画に織り込み済みであり特段の懸念はない。同社グループは、働き方の多様化に柔軟に対応する組織運営を行いながら、より高いレベルのデザイン会社に進化していくと弊社では見ている。導入後の状況を見ると、同社グループ社員は、育児・介護を軸足にするため、あるいは業務が集中した際のリラックス期間などの理由で制度を利用し始めてはいるが、まだ利用率も低いため、今後も業務配分を考えながら、積極的に社員がさらに利用しやすい体制を整える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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