為替週間見通し:ドルは弱含みか、米インフレ鈍化なら追加利下げ観測再浮上も
*14:27JST 為替週間見通し:ドルは弱含みか、米インフレ鈍化なら追加利下げ観測再浮上も
【今週の概況】
■ドルは一時147円割れ、米関税措置に対する懸念強まる
今週の米ドル・円は軟調推移。メキシコとカナダからの輸入品に対する関税賦課を警戒して週初に151円台前半までドル高円安に振れたが、トランプ米政権は3月6日になってメキシコとカナダからの輸入品のうち、3か国の貿易協定に含まれる品目を来月4月2日まで関税措置の対象から外したことから、物価上昇への懸念は和らぎ、米ドル買い・円売りは縮小した。日本銀行の内田副総裁は5日に行われた講演で「経済・物価見通しが実現していけば引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく」と述べたことは円買い材料となった。6日に発表された1月米貿易収支で赤字幅が拡大したことも嫌気され、米ドル買い・円売りは一段と縮小した。
7日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時146円95銭まで下落した。この日発表された米国の2月雇用統計で、非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったことや失業率の上昇を受けて米国経済の減速が意識され、リスク回避的なドル売りが優勢となった。ただ、ロシアのプーチン大統領は条件付きでウクライナとの停戦で合意する用意があると報じられたことから、リスク回避の米ドル売りは一服。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「米国経済は不透明感にもかかわらず強い」と指摘し、「政策修正を急ぐ必要はない」との考えを改めて表明したことから、ドルを買い戻す動きが広がった。米ドル・円は148円03銭でこの週の取引を終えた。米ドル・円の取引レンジ:146円95銭-151円30銭。
【来週の見通し】
■ドルは弱含みか、米インフレ鈍化なら追加利下げ観測再浮上も
来週のドル・円は弱含みか。来週発表される2月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)でインフレ鈍化が示された場合、米連邦準備制度理事会(FRB)の緩和的な金融政策の継続を見込んだ米ドル売り・円買いは継続する可能性がある。また、直近の米個人消費支出は市場予想を下回っており、4月下旬に発表予定の今年1-3月期国内総生産(GDP)成長率はマイナスとの見方が浮上している。足元の弱い経済指標から景気腰折れの見方が広がればドル売りが強まる展開となりそうだ。
日本の春闘大幅賃上げ要求を受け、日本銀行による追加利上げ時期は早まる可能性があることも円買い圧力を強める要因となりそうだ。米トランプ政権は関係国への関税引き上げの方針を伝えており、この動きは世界経済の不確実性を高めていることもドル売り材料になりやすい。
【米・2月消費者物価コア指数(CPI)】(12日発表予定)
3月12日発表の米2月消費者物コア指数(CPI)は前年比+3.2%と鈍化が予想され、市場予想と一致、または下回った場合、ドル売り要因になりやすい。
【米・3月ミシガン大学消費者信頼感指数】(14日発表予定)
3月14日発表の米3月ミシガン大学消費者信頼感指数が市場予想を下回った場合、景気減速懸念が強まりドル売り要因に。また、株売り材料にもなり、リスク回避の円買いも出やすい。
予想レンジ:145円50銭-150円00銭
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