為替週間見通し:やや下げ渋りか、日米金利差の急速な縮小は予想されず
*14:42JST 為替週間見通し:やや下げ渋りか、日米金利差の急速な縮小は予想されず
【今週の概況】
■米雇用統計悪化で円買い強まる
今週の米ドル・円は弱含み。7月29-30日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で政策金利の据え置きが予想通り決定されたが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会合終了後の会見で追加利下げに慎重な姿勢を示し、リスク回避的な米ドル売り・円買いは縮小した。7月30-31日開催の日本銀行金融政策決定会合では、政策金利を現在の0.5%程度で維持することが全会一致で決まったが、植田日銀総裁は会合後の会見で、「アメリカの関税措置による国内経済の影響について慎重に確認していく」との考えを伝えたことを受けて早期利上げ観測は後退し、リスク選好的な米ドル買い・円売りが活発となった。31日の欧米市場で米ドル・円は150円台後半まで一段高となった。
しかしながら、8月1日発表の7月米雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を下回り、過去2カ月間の雇用者数は大幅に下方修正されたことから、米国の年内利下げ観測が広がった。米ドル・円は150円台半ば近辺から一時147円30銭まで下落し、147円42銭でこの週の取引を終えた。米ドル・円の取引レンジ:147円30銭-150円92銭。
【来週の見通し】
■やや下げ渋りか、日米金利差の急速な縮小は予想されず
来週のドル・円はやや下げ渋る可能性がある。7月の米雇用統計は悪化し、9月利下げの可能性が浮上したが、7月31日発表された米6月コアPCE価格指数は市場予想を上回っている。米トランプ政権の高関税政策で物価上昇圧力が意識されやすく、雇用情勢はやや悪化したものの、インフレ持続が警戒されている。日本の利上げ時期は引き続き不透明であり、日米金利差の急速な縮小は予想されていないため、リスク回避的なドル売り・円買いが急拡大する可能性は低いとみられる。日米貿易合意で日本経済の不確実性はやや払拭されたものの、参院選での野党躍進で引き締め的な金融政策はなお遠く、ドル・円は下げづらい状態が続くと予想される。
【米・7月ISM非製造業景況指数】(8月5日発表予定)
5日発表の米7月ISM非製造業景況指数は51.4と、前月の50.8から改善が予想されている。想定通りなら金融緩和余地は縮小し、ドル買いを後押しする材料に。
【米・新規失業保険申請件数】(8月7日発表予定)
7日発表の米新規失業保険申請件数は改善傾向が続くか注目される。良好な雇用情勢が示されれば緩和的な政策の可能性は低下し、ドル買いの支援材料となろう。
予想レンジ:146円00銭-149円00銭
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