ソフト99 Research Memo(1):2024年3月期業績はおおむね計画どおりに進捗、株主還元を積極的に進める
*12:21JST ソフト99 Research Memo(1):2024年3月期業績はおおむね計画どおりに進捗、株主還元を積極的に進める
■業績動向
1. 2024年3月期第2四半期累計業績は前年同期比横ばい水準に
ソフト99コーポレーション<4464>の2024年3月期第2四半期累計連結業績は、売上高が前年同期比1.8%増の14,801百万円、営業利益が同1.2%減の1,674百万円、経常利益が同0.3%減の1,778百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同3.0%減の1,199百万円とほぼ前年同期並みの水準となった。売上高はサービス事業の落ち込みをファインケミカル事業の海外売上や不動産関連事業の増収でカバーした。利益面では、販売ミックスの変化やポーラスマテリアル事業の新工場稼働に伴う立ち上げコストの増加などで若干の減益となったが、おおむね会社計画どおりの進捗となった。
事業セグメント別業績を見ると、ファインケミカル事業は売上高が前年同期比3.4%増の7,354百万円、営業利益が同0.9%減の943百万円となった。売上高の主な内訳を見ると、一般消費者向け製品販売(自動車分野)はボディケア製品が好調だったものの、猛暑の影響等でガラスケア製品やリペアグッズが低調に推移し、全体では同2.6%減となった。一方、業務用製品が新車及び中古車販売台数の増加により同4.7%増となったほか、海外事業では、中国や南米への出荷増加や仕入れ販売商品の拡大等により同32.9%増と大きく伸長した。メガネケア製品を中心とした家庭用品等は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による特需の一巡により同18.4%減となったが、販路の拡大が進んだことでコロナ禍前を上回る売上水準を確保した。利益面では、販売ミックスの変化による売上総利益率の低下により減益となった。
ポーラスマテリアル事業は売上高が前年同期比0.5%増の4,057百万円、営業利益が同8.7%減の491百万円となった。売上高の内訳を見ると、産業資材部門は海外半導体メーカー向けの落ち込みを医療・プリンタ用途向けの拡大でカバーし、同0.1%増と横ばい水準を確保した。生活資材部門は米国向けの落ち込みを国内のスポーツ用品向けや自動車向けOEM製品の好調でカバーし、同2.0%増となった。利益面では、のれん償却がなくなったものの、原材料価格の上昇や新工場稼働に伴う減価償却費並びに人件費等の増加が減益要因となった。
サービス事業は売上高が前年同期比2.0%減の2,653百万円、営業利益が同37.1%減の55百万円となった。売上高の内訳を見ると、自動車整備・鈑金事業において修理用部品の供給回復により中程度以上の事故車の出庫が進んだことや美装事業の好調により同5.6%増となったが、自動車教習所事業が同0.1%減と横ばい水準に留まったほか、生活用品企画販売事業がコロナ禍特需の一巡で同12.5%減と落ち込んだ。利益面でも、減収に伴う売上総利益の低下により減益となった。
不動産関連事業は売上高が同7.5%増の735百万円、営業利益が同59.3%増の179百万円と唯一増収増益となった。売上高は不動産賃貸事業が同0.1%減となったが、行動制限の解除に伴う客数回復により温浴事業が同10.7%増となったほか、介護予防支援事業も利用者数回復により同7.6%増と増収に転じた。利益面では、温浴事業の増収効果で増益となった。
2. 2024年3月期業績は期初計画を据え置き、前期比横ばい水準となる見通し
2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.6%減の30,000百万円、営業利益が同0.4%増の3,270百万円、経常利益が同0.3%増の3,450百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.3%増の2,400百万円と期初計画を据え置いた。営業利益はポーラスマテリアル事業やサービス事業の落ち込みを、ファインケミカル事業や不動産関連事業の増益でカバーする見通しだ。
ファインケミカル事業では2023年3月に発売した「神トレ ホイール&タイヤクリーナー」や同年9月に発売したボディ&ガラス撥水コーティング剤「レインドロップ トルネードヴォルテックス」がSNSを活用したプロモーション効果もあり好調に推移している。また新たな取り組みとして、ミニバンなど車高の高い車両向けに開発した長尺吸水クロス(全長4m)をクラウドファンディングで2023年12月より先行販売したところ、販売開始5日間で目標額の20万円を大きく上回る100万円の販売を達成した。今後はWeb専売品として販売していく計画で、店頭でリーチできなかった需要層を取り込む新たな施策として注目される。海外市場ではSNSを活用した情報発信により自社製品の認知度向上と販売強化を図っていくほか、自動車以外の新規市場開拓についても継続して取り組んでいく。
ポーラスマテリアル事業については、新工場稼働による減価償却負担増等により減益が想定されるが、2025年3月期に向けて半導体市場の回復が見込まれることから、業績も上向くものと予想される。新規分野として注力中の医療用製品向けでは、インフルエンザ検査キットや口腔ケア製品などをはじめとした各種製品の開発・量産化に向けた準備を進めており、今後の成長が期待される。また、アズテック(株)で新たに手術映像記録管理システム「Opera Vision」の取り扱いを開始し、販売を強化していく予定である。
3. 中期経営計画の進捗について
2024年3月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画では、「Evolve!!~進化せよ!!~」をテーマに、デジタルを活用しながらも心揺さぶられるアナログ的(エモい)価値や製品を創り出す人財を育て、その価値を通じて社会課題の解決に貢献していく方針を打ち出した。重点施策として「価値提供方法の多様化」「海外展開強化」「医療分野強化」の3点に取り組み、高付加価値製品・サービスの提供により利益成長と資本効率の向上を目指す。2026年3月期の経営数値目標は、売上高31,700百万円、営業利益3,780百万円、ROIC8.1%(前期実績7.1%)とし、主力2事業を中心に売上高で年率1.7%増、営業利益で同5.1%増と堅実な成長を進めていく計画だ。
4. 株主還元策
株主還元については、「安定的な配当の継続」と「連結営業利益の25%を総還元の目安とする」ことを方針に掲げているほか、2026年3月期までの3期間で合計7億円の自社株取得を予定するなど、積極的な株主還元方針を打ち出している。同方針に基づき、2024年3月期は1株当たり配当金で前期比3.5円増配の41.0円(記念配当3.0円含む)と9期連続の増配を予定している。また、自社株取得については2023年5月~8月の期間で60千株、80百万円を取得したほか、新たに2023年10月から2024年3月末までに90千株、150百万円を上限とした自己株取得を行うことも発表した。2023年9月末時点の1株当たり純資産は2,473円で、PBRは0.5倍台と純資産価値を下回る状況が続いており、企業価値向上に向けた取り組みの1つとなる。また、株主優待制度も導入しており、毎年3月末の株主に対して、保有株数に応じて自社製品(カーケア製品)またはグループ会社製品等の贈呈を行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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