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いい生活 Research Memo(7):顧客のSaaSシフトの加速と新規プロダクト投入による売上成長見込む

2024年07月02日 14:37 銘柄/投資戦略

*14:37JST いい生活 Research Memo(7):顧客のSaaSシフトの加速と新規プロダクト投入による売上成長見込む ■今後の業績見通し

1. 2025年3月期の業績見通し
いい生活<3796>の2025年3月期の期初予想は、売上高で前期比11.1%増の3,119百万円、営業利益で同43.2%減の100百万円、経常利益は同52.4%減の99百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同54.1%減の67百万円とした。

2025年3月期における業績予想は、着実な成長が見込まれている。2024年3月期から仕掛かっていた大型案件は上期中に完了し、稼働開始が予定されており、これに伴う売上計上が期待される。新規顧客の獲得と既存顧客へのクロスセルやアップセルにより、約11%の売上成長が見込まれている。特にエンタープライズ顧客のSaaSシフトが加速しており、賃貸管理SaaS案件の積み上げと導入支援ニーズの堅調さが成長を支えている。さらに、2026年3月期においても10%超の売上成長が見込まれており、持続的な成長が予測されている。2026年3月期稼働向けの受注活動も開始しており、導入支援系の受注残も堅調に推移している。

持続的成長に向けて、同社は人的資本への投資を継続している。必要な人材の獲得およびリテンションを図るために、グループ全体で平均10%超の給与水準引き上げを実現した。さらに、プロダクト開発・改善のペースを加速させ、ラインナップ拡充のために開発チームを増員している。また、売買向けSaaSの強化やエンタープライズ顧客にニーズのある建物管理・工事管理機能などの新プロダクト投入準備も加速している。セールスおよび導入支援コンサルティング部門を増員し、エンタープライズ顧客のSaaSシフトに対応するための体制を強化している。特に、提案から稼働までを担う部門に重点的に配置を行い、スムーズな導入支援を提供している。一方で、期ずれした案件の仕掛品の費用計上が今期に行われるため、一時的な費用増加が予想されるが、売上と費用は2025年3月期に計上される見込みであるため、財務面での影響は限定的である。総じて、2025年3月期の業績予想は、エンタープライズ顧客のSaaSシフトの加速と新規プロダクト投入による売上成長が期待され、持続的な成長に向けた戦略が着実に進行していることが伺える。

2. 2025年3月期の基本方針・成長戦略
2025年3月期における同社の基本方針と成長戦略は、大手企業へのSaaS導入推進と唯一無二のポジショニングを活かしたSaaSシフト支援に焦点を当てている。特に、インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正に適切に対応し、大手企業のカスタマイズ志向に応えるためのSaaS導入に注力している。同社は、不動産賃貸管理および賃貸募集業務を一元管理できるSaaSオンリーのシステムを提供する唯一の上場企業として、その独自のポジショニングを活かしている。これにより、エンタープライズ顧客のSaaSシフトを支援し、業務の効率化と法令遵守を実現する。「いい生活Square」プラットフォームを通じて、不動産会社を無料ユーザーとして獲得し、物件供給力の高い大手賃貸管理会社を顧客化することで業者間流通を拡大している。特に、「いい生活賃貸クラウド 物件広告」や「いい生活賃貸クラウド 営業支援」を推進し、仲介側ユーザーにエントリーしやすいサービスを提供している。2024年3月時点で約19,000社が「いい生活Square」に登録済みであり、これが今後の成長の基盤となっている。さらに、連携サービスの拡大にも力を入れており、ウェブ会議や汎用性ある電子契約ツールの販売代理を通じて導入を増やしている。これにより、従量課金をビルトインし、安定した収益を確保している。データ保存ツールもラインナップに加え、ワンストップサービスの提供を加速している。

これらの戦略により、同社は持続的な成長を目指し、業界内での競争力を強化している。大手企業の高機能ニーズに応えるとともに、中小企業にもスケーラブルなSaaSソリューションを提供することで、市場シェアを拡大し続ける方針だ。弊社では、法改正に対応する柔軟なシステム提供と連携サービスの拡充が、同社の成長を後押しする要因となると見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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