ファーマF Research Memo(6):バイオメディカル事業は独自技術を用いた創薬事業を展開
*13:46JST ファーマF Research Memo(6):バイオメディカル事業は独自技術を用いた創薬事業を展開
■事業概要
4. バイオメディカル事業
バイオメディカル事業は、ファーマフーズ<2929>独自のニワトリ由来抗体作製技術「ALAgene(R) technology」を用いて「自己免疫疾患」及び「がん」や「線維症」等の難治性疾患を対象とした創薬事業を行っている。また、機能性素材全般に関わる研究開発から得られた技術等をもとに、外部企業からの分析・効能評価試験等を受託するLSI(Life Science Information)事業も行い、機能性に関するデータ取得やその分析、各種素材の成分分析、精製品の作成依頼等で、食品を中心とした各メーカーの研究開発をサポートしている。2022年4月にアンテグラルより事業承継したプロテオーム解析サービス「OLINK」(2022年6月に国内初の「OLINK Target」受託サービスを開始、2023年2月に「OLINK Flex」受託サービスを開始)も順調に拡大している。2023年7月には「OLINK」サービスのさらなる拡大を目指し、タカラバイオと業務提携した。両社の受託サービスの連携により、顧客ニーズにワンストップで対応できる体制となり、今後は協力して販促活動を行う。
「ALAgene(R) technology」は、これまで治療できなかった病気に対する抗体及び既存医薬品よりも優れた薬効を持つ抗体を作製する同社独自のプラットフォーム技術である。本技術を用いて「自己免疫疾患」及び「繊維症」等の様々な疾患を対象とした抗体医薬品の研究開発を行っている。このほかにも「ALAgene(R) technology」とプロテオーム解析を組み合わせることで、創薬ターゲットの探索・同定を一層強化し、世界初の抗体医薬品の開発を加速している。ビジネスモデルは、非臨床試験までは同社で開発を進め、臨床試験以降の製造、開発及び販売をライセンス供与した製薬企業が行うことで、共同研究一時金、契約一時金、開発マイルストン、上市後の販売ロイヤルティ、販売マイルストンなどのライセンス収入を得る仕組みである。
関節リウマチを中心とする「自己免疫疾患プロジェクト」※においては、2018年10月より田辺三菱製薬と抗体医薬に関する共同研究を推進した結果、2021年1月に独占的ライセンス契約を締結した。また2022年4月には「抗PAD2抗体」が日本における特許査定を受領、同年8月には「抗PAD4抗体」が米国特許庁から特許査定を受領(日本では査定受領済)し、早期の臨床試験入りを目指している。このほかにも全国の大学との共同研究により、創薬パイプラインの拡充を推進している。
※自己免疫疾患治療マーケットの規模は5兆円以上(同社推定)。
特定製品への依存度リスク低減を推進
5. リスク要因と課題・対策
リスク要因としては、競合、製品開発・技術革新への対応遅れ、特定製品への依存度、医薬品医療機器等法(薬機法)や食品衛生法等の法的規制、個人情報保護などが挙げられる。BtoB事業での競合については、主力の「ファーマギャバ(R)」がGABA生産でトップシェアであることなどから、当面の競合リスクは小さいと考えられる。
BtoC事業は消費者の嗜好や購買行動の影響を受け、特定製品への依存度の高さ、広告宣伝費の増加、売上計画の下振れなどがリスク要因となる。特定製品への依存度については、現状は育毛・発毛促進剤「ニューモ(R)育毛剤」への依存度が高いものの、「まつ毛デラックスWMOA」や「DRcula」シリーズなど新製品の開発を積極的に推進し、製品ラインナップを拡充することによって依存度リスク低減を図っている。一方、広告宣伝費については、売上、CPO※1、LTV※2の動向を見ながら流動的にコントロールすることで、広告宣伝費負担リスクの低減を図っている。
※1 Cost Per Orderの略で、顧客1件を獲得するために要した広告宣伝費。
※2 Life Time Valueの略で、顧客生涯価値。
バイオメディカル事業においては、新薬の開発から上市までに長期間を要するため、将来の不確実性(開発遅延や中止など)リスクが存在する。これに対して同社は、事業推進の際に市場性や実用化の可能性などに関して慎重な判断を行い、長期的な事業計画を策定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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