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学情 Research Memo(6):「Re就活」を中心にすべての事業が好調に推移

2025年03月03日 14:06 銘柄/投資戦略

*14:06JST 学情 Research Memo(6):「Re就活」を中心にすべての事業が好調に推移 ■学情<2301>の業績動向

1. 2024年10月期の業績概要
2024年10月期の業績は、売上高10,730百万円(前期比22.2%増)、営業利益2,656百万円(同15.0%増)、経常利益3,053百万円(同19.1%増)、当期純利益2,229百万円(同27.2%増)と大幅増収増益、かつ3期連続の過去最高業績更新となった。20代を中心とした働き手の転職に対するニーズや、生産年齢人口の減少などを受け企業のキャリア採用に対するニーズがさらに拡大するなか、求職者、採用企業、双方のニーズを的確に捉えたことが好業績の要因だ。特に、新卒採用の早期化・難化を受けて第二新卒採用に対するニーズが高まり、基幹Webメディアの1つである「Re就活」の売上高が前期比34.1%増と急伸したことが全体の業績拡大をけん引した。「Re就活」を含め同社が注力するキャリア採用サービスの売上高も前期比33.0%増と急伸した。「Re就活」の会員数増加がその他のキャリア採用サービスの業績拡大にプラスに寄与した。利益面に関しては、中期経営計画のもとソフトウェア開発投資をはじめとする各種成長投資を着実に実行しながらも、利益を順調に積み上げた。「Re就活」をけん引役にトップラインをしっかりと伸ばしたことが成長投資などのコスト増をカバーした格好だ。特に経常利益と当期純利益の伸びが相対的に大きかった。資本効率の向上と成長投資の原資確保を目的に有価証券の売却を実施したことが利益を押し上げた。

業績予想と実績の比較では、売上高がプラス3.2%、営業利益がプラス8.4%、経常利益がプラス9.1%、当期純利益がプラス17.1%となり、売上高、各段階利益ともに業績予想を上回って着地した。2024年10月期第2四半期終了時点で同社は、足元の業績が好調なことを受け、期初の業績予想から売上高、経常利益、当期純利益を上方修正した。良好な事業環境のなか、キャリア採用サービスをけん引役に業績を伸ばし、最終的には予想を上回って着地する好調ぶりを見せた格好だ。

2024年10月期のトピックスとしては「Re就活30」をリリースしたことが挙げられる。同社が提供するサービスのターゲット層を広げ、キャリア採用サービスの業績をさらに拡大することが狙いだ。足元では、「Re就活」のブランド資産を生かした事業展開が功を奏し、足元の登録会員数は想定を上回るペースで推移している。2025年10月期の業績予想達成に向けたプラス材料と言える。

2. 商品別業績
2024年10月期の「Re就活」の売上高は、2,526百万円(前期比34.1%増)となった。キャリア採用市場は、構造的な人手不足に加え、DXの推進、今後の消費の中心を担う「Z世代」の価値観を生かした商品・サービス開発の推進などにより、若手人材に対する採用需要が引き続き高位安定して推移した。また、若い世代を中心に、「転職を通じてキャリアを形成すること」や「未経験職種であってもキャリアチェンジに挑戦すること」への関心が高まり、雇用の流動化もますます進んだ。そのようななか、「Re就活」は20代に特化した転職Webメディアという特徴を最大限に生かし、若い世代が情報を受け取りたいと思うチャンネルづくりや、利用したいと思うUI・UXの実装などに注力したことによって順調に会員数を伸ばした。具体的には、企業のリアル(雰囲気や社員の声)を伝える動画や、生成AIで自己PRの作成をサポートする「スマートPRアシスタント」機能を投入するなど、「情報の受け取りやすさ」「使いやすさ」をさらに向上させ、同サービスの訴求力を高めた。また、企業の第二新卒に対する採用ニーズが特に高まった時期に積極的な広告宣伝投資を行い、会員数を集中的かつ効果的に伸ばしたことによって、企業と学生のマッチング数が順調に増加した。また企業の採用ニーズが順調に充足されるなか、同サービスの有用性を実感した企業が採用予算を増額したうえでリピート発注するケースも見られ、同サービスの業績伸長に寄与した。

「Re就活ダイレクトリクルーティング(「Re就活テック」「Re就活30」)」の売上高は111百万円(前期は50百万円)となった。「Re就活」の会員登録者数が拡大したことが「Re就活テック」にもプラスの波及効果をもたらし、同サービスの登録会員数は前期比36.7%増と大きく伸びた。企業のDXニーズが高まりを見せるなか、マッチング数も同49.3%増と急伸し、成功報酬を順調に積み上げたことが業績の拡大に寄与した。また、2024年10月にローンチした「Re就活30」に関しては、計画を上回るペースで会員数が伸びている。「Re就活」で築き上げた求職者との接点というブランド資産が登録会員数の急増に寄与している格好だ。2024年11月末時点で、計画1,000人に対して400%増の5,025人となっている。

「エージェント事業(人材紹介)」の売上高は、775百万円(前期比21.2%増)となった。「Re就活エージェント」を利用し転職を希望する求職者は、「Re就活」経由でエージェントサービスに登録する。「Re就活」の会員登録者数が増加したことを受け、面談数(前期比36.7%増)、マッチング数(同13.8%増)が伸長し、業績を押し上げた。また、IT・DXなど専門スキルを習得できる職種への「キャリアチェンジ」の転職支援を強化したことなども求職者からの支持獲得につながった。

「イベント(転職博・就職博など)」の売上高は、3,179百万円(前期比21.8%増)となった。採用難易度が上昇し、リアルイベントで直接面談したいという企業ニーズが前期に引き続き旺盛だった。特に、新卒採用の早期化や難化を受けて、ブース出展数はインターンシップ期対象が前期比39.9%増、転職対象が同19.8%増とともに急伸した。また、学生売り手市場の中でも、「Re就活」「あさがくナビ」との連動による強みを活かして来場者数を確実に増やした。確実な面談数による採用イベントとしての訴求力が高まり、顧客企業からの支持を獲得している。

「あさがくナビ」の売上高は、2,072百万円(前期比18.6%増)となった。新卒採用では、早期化・長期化の傾向が強まり、企業側のインターンシップ広報やオープン・カンパニー広報への需要が拡大した。そのようななか、同社では企業のインターンシップ広報を支援する「あさがくナビ2026インターンシップ&キャリア」の売上高が伸長した。学生の就活トレンドを捉えた広告展開や、「あさがくナビ就活チャンネル」をはじめとした多様なコンテンツの提供によって会員登録者数を順調に伸ばし、求人媒体としての魅力を継続的に高めたことが企業からの支持を集めた。学生、企業双方からの支持を継続して獲得したことによって、求人件数は同35.8%、マッチング数は同56.5%増加した。

「ソーシャルソリューション事業」の売上高は、1,134百万円(前期比13.1%増)となった。転職・就職情報の提供、採用支援を通じて蓄積したノウハウを活用し、「インターンシップ支援関連事業」のほか、「デジタル人材育成」など国が重点課題と位置付けているテーマの事業を多く受託した。こうしたテーマは一過性のものでなく、長期的に国が取り組むテーマであることから、これらの案件を受託することにより、同事業の安定性が高まっていると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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