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サーラ Research Memo(3):地域密着事業モデルと専門特化事業モデルを展開。各事業で高いシェアを獲得(1)

2025年02月28日 13:03 銘柄/投資戦略

*13:03JST サーラ Research Memo(3):地域密着事業モデルと専門特化事業モデルを展開。各事業で高いシェアを獲得(1) ■サーラコーポレーション<2734>の事業概要

1. 「地域密着」と「専門特化」の2つの事業モデル
同社の6つの事業セグメントは、事業モデルで分類すると、高い知名度を生かした地域密着事業モデルと専門特化の広域展開事業モデルに分かれる。地域密着事業モデルは、愛知県東部及び静岡県西部を地盤に展開するエネルギー&ソリューションズ事業、エンジニアリング&メンテナンス事業、ハウジング事業、プロパティ事業が該当し、エネルギー事業を基盤としたラストワンマイルのきめ細かなサービスに強みがある。専門特化・広域展開事業モデルは、専門性の高いニッチ市場をより広域で水平展開し、高い全国シェアの獲得を目指す事業である。カーライフサポート事業とアニマルヘルスケア事業がこれに該当する。

2. エネルギー&ソリューションズ事業
同事業は、愛知県東部・静岡県西部地域を中心に、都市ガス・LPガス・電気などのエネルギー事業やリフォーム事業などを展開している。エネルギー事業においては、従来の安定的なエネルギー供給に加えて、カーボンニュートラルへの対応により、顧客の豊かな暮らしや事業課題解決の実現を目指す。同社の祖業であり、539千件(2024年11月期末)の顧客基盤があり、同地域では2世帯に1世帯は同社の顧客である。リフォーム事業は売上高で105億円の規模である(2024年11月期)。また、BtoB向けのエネルギー供給にも力を入れており、地域に自動車など製造業の産業集積があることなどから大口の顧客を多数抱える。

近年の業績は、エネルギー原価の変動(販売価格高騰時は需要減の要因)や気候の影響(暖冬は需要減の要因)などを受けるものの、顧客数の増加に伴い売上高・利益ともに安定成長してきた。2024年11月期は、売上高で前期比6.0%減の119,502百万円、営業利益で同0.8%減の2,966百万円となった。売上高は、原料費調整制度(原料費の変動に応じてガス料金を調整する制度)に基づき都市ガス販売価格を下方調整したことが70億円程度の減少要因となったようだ。利益面は、経費の抑制に努めたものの温暖化等の要因により家庭用の都市ガス、LPガスの販売量が減少したことに加え、バイオマス発電所の原料価格高騰などの影響により営業利益は微減となった。

3. エンジニアリング&メンテナンス事業
同事業は、安全、安心、豊かで快適な空間づくりを目的として、オフィスビルや工場、病院、学校、マンション、公園、道路、橋、港湾施設など高度な技術が求められる都市インフラの建設、修繕を行っている。加えて、省エネ、創エネ、カーボンオフセットなど脱炭素化に寄与する設備、メンテナンスの提案により、顧客の事業活動におけるカーボンニュートラルへ貢献している。約4割が土木部門で、建築部門、メンテナンス部門、設備部門がそれぞれ約2割の売上構成比である。歴史的に港湾土木に強みがあり、また空調設備、給排水衛生設備、エネルギー関連設備などの設備工事にも強みを持っている。

近年の業績は安定して成長している。特に利益面では、エネルギー&ソリューションズ事業に匹敵し、営業利益率は8.1%(2024年11月期)と相対的に高く、同社の収益向上をけん引している。近年はエネルギー事業のBtoB顧客への営業を強化し、シナジー効果が表れてきた。2024年11月期は、売上高で前期比6.8%増の32,727百万円、営業利益で同0.6%減の2,643百万円となった。建築部門の完成工事が増加したことに加え、メンテナンス部門が堅調に推移したことにより、売上高は過去最高を更新した。利益面は、土木部門において完成工事粗利益が減少したことにより営業利益は微減となったが、過去最高だった2023年11月期の水準を維持している。

4. ハウジング事業
同事業は、住みごこちにこだわった戸建住宅の販売や、高品質な建築資材・住宅設備の販売など、住まいづくりに関する総合的なサービスを展開している。最新の「SINKA」シリーズでは、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に対応した省エネ・環境性能に優れた住まいを開発・提供している。ZEH比率は2025年11月期には50%に達する計画である。2025年1月には、断熱等性能等級7(最高等級)に対応した新商品「SINKA KIWAMI(シンカ キワミ)」の販売を開始した。家庭用エアコン1台で建物全体を快適な温度にコントロールする全館空調に加え、湿度を40~60%に保つ調湿システムを搭載し、年間の光熱費を一般的な個別空調と比較して40%安く抑えられる競争力ある商品となっている。

近年の業績は売上高が安定して推移し、営業利益は変動あるものの黒字を継続してきた。2024年11月期は、売上高で前期比4.2%増の35,626百万円、営業利益で同423.4%増の747百万円となった。住宅販売部門は前期に販売を開始した新商品シリーズの受注が伸長し、注文住宅の販売棟数が増加した。一方、住宅部資材加工・販売部門は愛知県東部・静岡県西部エリアの新設住宅着工戸数が減少した影響により、取引先からの受注が減少した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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