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ファインデクス Research Memo(7):成長戦略の進捗は医療ビジネスが順調、公共ビジネスが想定以上の成長加速

2025年01月14日 15:37 銘柄/投資戦略

*15:37JST ファインデクス Research Memo(7):成長戦略の進捗は医療ビジネスが順調、公共ビジネスが想定以上の成長加速 ■ファインデックス<3649>の成長戦略

2. 成長戦略の進捗状況
2024年12月期第3四半期時点の成長戦略の進捗状況は、ヘルステックビジネスにおいては販売戦略が遅れているものの、医療ビジネスが順調であり、公共ビジネスは想定上に成長が加速している。医療ビジネスにおいては2024年12月期第3四半期末時点で医療システムユーザー数が2,078施設まで拡大し、2023年1月にコンサルティング部を新設した成果が発現している。また大規模病院を中心とするクロスセル販売、メンテナンスを含めた包括的なサービス提供、導入コストの低いパッケージ製品の拡販による高利益率化なども順調に進展していると言える。公共ビジネスにおいては地方自治体での落札が順調であり、累計導入件数も2025年12月期の目標57件に対して、2024年12月期第3四半期末時点で48件となった。導入ユーザー数の増加に伴って月額利用料収入が順調に積み上がるストック型収益構造となりつつある。

今後の重点施策としては、医療ビジネスでは継続的な人材採用・教育、クラウド製品の大規模病院向けへの展開加速、中規模病院・診療所向けのクロスセル推進、適切な価格改定(2024年4月以降に20%程度値上げを推進、販売や契約更新のタイミングで実施するため効果発現は2025年12月期以降の見込み)などを推進する。公共ビジネスでは事業拡大に向けたさらなる人材の確保、中規模案件の本格開拓に向けた代理店との関係強化、他社システムとの連携、利用者増加に伴うサポート体制の一段の強化、大規模施設への導入によるノウハウ蓄積、ユーザーファーストでの製品機能強化などを推進する。ヘルステックビジネスでは認知度・理解度向上に向けた積極的なマーケティングの展開、医療従事者に使いやすいインターフェースや使用時のガイド機能追加、新しい検査機能を追加するための研究開発投資、代理店教育による販売体制再構築、インド・ASEAN地域での販売に向けた代理店開拓などの取り組みを推進する。なお2024年6月にはNHK総合テレビ「午後LIVEニュースーン」において「GAP」が取り上げられ、同年8月には日本テレビ「カズレーザーと学ぶ。」にて「GAP」を用いた視野検査が行われた。同社は引き続き、MCIを含めた新規事業開発、M&Aなどの成長投資を継続して行っている。


株主還元は安定的かつ継続的に配当を実施

3. 株主還元策
同社は、革新的な製品力と高度なコンサルティング能力によって市場における地位を確立することにより、企業価値の最大化を図っている。株主への利益還元については、その実現に向けて必要な投資を継続するための内部留保の維持拡大を図りつつ、経営成績、財政状態及び事業計画の達成度を総合的に判断し、配当を実施することを基本方針としている。この方針に基づいて2024年12月期の配当予想は前期比2.0円増配の年間15.0円(中間7.0円、期末8.0円)である。4期連続増配で予想配当性向は35.1%となる。なお中期経営計画「Vision for 2025」では、最終年度2025年12月期の1株当たり配当金18.0円、配当性向31.2%を目標に掲げており、業績の拡大に伴ってさらなる株主還元の充実が期待できると弊社では見ている。


事業を通じて社会課題の解決に貢献

4. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営に関しては、医療・人々の健康を支えるDX企業として、事業を通じて持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化している。2022年10月には法務省が推進する「My じんけん宣言」プロジェクトの趣旨に賛同し、同年からCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)への回答を開始するなど、社会課題の解決と気候変動への対応に積極的に取り組んでいる。

また、医療ビジネスや公共ビジネスにおいて医療DXや行政DXに貢献するだけでなく、ヘルステックビジネスでは「GAP」により、失明の最大原因と言われる緑内障の早期発見や軽度認知障害の早期発見に寄与する。なお、2022年8月から10月にかけて愛媛県伊予市保健センターで同社の「GAP」による「緑内障の早期発見に向けた視野検査」が実施され、2023年4月にその実装報告がTRY ANGLE EHIME(トライアングル エヒメ)(愛媛県デジタル実装加速化プロジェクト)のWebサイトに掲載された。2024年3月には子育てサポート企業として厚生労働大臣より「くるみん認定」を取得した。


高利益率のビジネスモデルを評価、軽度認知障害関連の展開にも注目

5. 弊社の視点
同社の営業利益の推移を見ると、新型コロナ感染症拡大の影響があった2020年12月期をボトムとして右肩上がりの拡大基調に転じ、過去最高更新の形となっている。営業利益率は2024年12月期第3四半期まで上昇した。これは、医療ビジネスにおいてシステム導入数が増加基調にあることに加え、利益率の高いパッケージ販売や保守・サポート料といったストック型収益の増加が主要因であり、この高利益率のビジネスモデルを弊社では高く評価している。さらに、第2の収益柱として期待される公共ビジネスの成長が加速している点も評価したい。今後は成長戦略の進捗状況が注目点となるが、国策による医療DXや行政DXの進展が予想されるなど同社にとって事業環境は良好であり、収益拡大基調が期待できるだろうと弊社では考えている。さらに中長期的な視点として、軽度認知障害関連のヘルステックビジネスの展開にも注目したいと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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