TDCソフト Research Memo(9):2025年3月期は期末配当24.0円を予定
*16:09JST TDCソフト Research Memo(9):2025年3月期は期末配当24.0円を予定
■株主還元策
TDCソフト<4687>は利益配分に関する基本方針として、経営基盤の充実と財務体質の強化を通じて企業価値の向上を図るとともに、株主に対する積極的な利益還元を行うことを掲げている。この方針の下、配当性向30%を目標とし、経営状況、財務や業績などの状況を総合的に勘案しながら配当を実施する計画である。2024年3月期は期初計画において1株当たりの年間配当を40.0円(期末配当)としていたが、2024年2月に1株当たり48.0円に変更し、計画通り実施した。2025年3月期については、2024年4月1日付けで普通株式1株につき2株の株式分割を行った結果、1株当たりの年間配当を24.0円とする予定である。配当性向は34.7%となる見込みだ。
■CSR(企業の社会的責任)への取り組み
同社では、CSR(企業の社会的責任)の一環として募金活動や災害に対する支援を行っている。2011年3月11日に発生した「東日本大震災」では、義援金及び従業員から募った寄付金を、日本赤十字社を通じて寄付し、現在では東北の海産物などを購入することにより支援を継続している。2015年9月に発生した「平成27年9月関東・東北豪雨」の被災地に向けた義捐金を、鬼怒川の決壊など、特に被害の大きかった茨城県常総市では市役所を通じて寄付しているほか、2016年4月に発生した「平成28年熊本地震」においても、義捐金及び従業員から募った寄付金を、熊本県へ寄付している。2023年3月に、紛争や自然災害、貧困などにより命の危機に瀕する人びとに医療を届ける、民間で非営利の医療・人道援助団体「国境なき医師団」へ寄付をしている。また、2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」では、TDCソフトグループで500万円の義援金を拠出している。
その他、「身近で」かつ「誰もが」取り組める社会貢献活動として、(公財)日本盲導犬協会への募金活動を実施している。2009年より募金箱を社内に設置し、全社イベントの際に呼びかけるなどして盲導犬の育成を支援している。また、障害者雇用促進法に基づき、障害者雇用を促進するため、2012年11月に「わかばファーム市原」、2020年11月に「わかばファーム柏」、2022年7月に「わかばファーム川越」、同年10月に「わかばファーム浦和」を開園した。これまで生産した農作物は、ミニトマト、ナス、キャベツ、水菜、チンゲン菜、きゅうり、枝豆、小松菜、ほうれん草、玉ねぎ、スイスチャード、白かぶ、オクラなどであり、収穫された野菜は定期的に本社へ送られ、社員の手元に行きわたる。
2024年3月11日には、経済産業省が主催する「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定された。健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みに準拠して、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業などの法人を認定する制度である。同社は社員とその家族の健康活動に対する積極的な支援と、組織的な健康活動を推進することで「働きやすい、やりがいのある会社」作りに取り組んでいる。社員とその家族が心身の健康を保ち、最高のパフォーマンスを発揮することで、顧客に最適なサービスを提供し、社会とともに発展することを目指している。
2024年9月、栃木県矢板市のデータ連携基盤構築案件を受注し、災害時の避難所運営を支援する「避難所チェックインシステム」を開発した。災害時に避難所へのチェックインをスマートフォンで行えるシステムで、運営職員の事務負担を軽減し、防災データの共有や活用を進め、地域の安全・安心確保に貢献する。市職員の避難者管理業務の効率化や、市民の避難状況の的確な把握、二次被害防止などへの効果が期待される。同社は、獲得したノウハウを生かし、他市町村への導入支援から災害対策の広域連携も視野に入れている。さらに、地域の災害対策支援を軸としたデータ基盤の活用により、地域活性化に有効なツールへと発展させる考えである。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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