HCH Research Memo(1):戦略領域が大幅に拡大して事業構造転換が加速
*11:01JST HCH Research Memo(1):戦略領域が大幅に拡大して事業構造転換が加速
■要約
ヒューマンクリエイションホールディングス<7361>は、ITを基軸にクライアントの経営課題を解決する独立系のソリューション・インテグレーターである。M&Aも積極活用して「グループの『人財』がITを通じてクライアントの皆さまと未来を創っていく『答えを創る次世代の経営課題コンサルティング企業』の実現」を目指している。
1. エンジニア派遣を起点に、ITコンサル・開発など戦略領域へ事業拡大
同社は事業区分を、SES(エンジニア派遣)事業、及び戦略領域事業(M&A仲介・コンサル事業、ITコンサル・開発事業、保守運用・BPO事業)としている。創業以来のSESを起点に、M&Aも駆使しながら成長分野である戦略領域へ事業拡大し、M&A仲介・コンサル・開発・保守運用までをグループ内で完結できるワンストップビジネスモデルを構築している。顧客基盤・案件情報・ナレッジ・人財リソースの連携によりグループシナジーを発揮する体制だ。トレンドとして戦略領域の高成長が連結売上高の拡大をけん引し、SESは安定成長を継続している。
2. 2025年9月期は計画超の大幅増益で事業構造転換が進展
2025年9月期の連結業績は、売上高が前期比24.8%増の8,945百万円、営業利益が同23.9%増の781百万円、経常利益が同22.8%増の773百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.4%減の398百万円となった。EBITDA(営業利益+減価償却費+その他償却費+利息費用+のれん償却費)は同25.6%増の953百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失を計上したため微減益だが、既存事業が順調に拡大し、第3四半期より(株)HCフィナンシャル・アドバイザーを新規連結したことも寄与して計画を上回る大幅営業・経常増益となった。事業基盤強化を進めている戦略領域が大幅に伸長し、成長ストーリーである次世代経営コンサルティングに向けての事業構造転換が順調に進展した形である。
3. 2026年9月期は先行投資で利益横ばいだが売上は高成長継続
2026年9月期の連結業績予想は売上高が前期比11.8%増の10,005百万円、営業利益が同0.5%増の785百万円、経常利益が同0.7%増の779百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.5%増の436百万円、EBITDAが同7.2%増の1,022百万円としている。営業利益と経常利益は先行投資による販管費増加で横ばい予想だが、売上高は2ケタ増収・過去最高予想としている。前期並みの利益水準を確保しつつ、中長期的な収益拡大に向けた費用投下を進め、戦略領域を中心に売上の高成長を図る方針だ。事業別売上高の計画は戦略領域が同24.1%増の4,520百万円、SESが同3.4%増の5,484百万円としている。同社が主たるターゲットと位置付けるSMB(Small and Medium Business)市場においてはDX遅れや後継者難が課題であるため、IT・DX需要だけでなくM&A・経営コンサル需要の拡大も予想される。事業構造転換戦略による戦略領域の高成長がけん引し、2026年9月期も好業績が期待できるだろうと弊社では考えている。
4. 成長戦略2ndステージは規模拡大と事業構造転換を加速
同社は、中長期経営方針に掲げた2030年9月期の計画であるEPS1,000円(2025年1月1日付株式2分割後500円)及びROE30.0%超の実現に向けて、成長戦略2ndステージ(2025年9月期~2027年9月期)では業容拡大にこだわり、規模拡大と戦略領域への事業構造転換を加速させる方針としている。2ndステージでは先行投資として費用を一時的に積み増すが、3rdステージ(2028年9月期~2030年9月期)では利益水準と資本効率にこだわり、投資回収とシナジー創出を進める。2ndステージでは、ターゲット市場はSMB、提供価値はDXコンサルティングから実装までの提供、提供手法は自社開発のHCHプラットフォーム、営業戦略はグループ連携強化・営業力向上及びHCHプラットフォームによるクロスセル促進と強固な顧客基盤構築としている。なお株主還元では2026年9月期の配当予想を前期比17.00円増配の44.00円(期末一括)としている。
■Key Points
・クライアントの経営課題を解決する独立系のソリューション・インテグレーター
・創業以来のSESを起点に、ITコンサル・開発など戦略領域へ事業拡大
・2025年9月期は計画超の大幅営業・経常増益で事業構造転換が進展
・2026年9月期通期は先行投資で利益横ばいだが売上は高成長継続
・成長戦略2ndステージは規模拡大と事業構造転換を加速
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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