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銘柄/投資戦略 2020/04/03 15:12 一覧へ

シンバイオ製薬 Research Memo(2):「がん、血液、希少疾病」領域がターゲットのバイオベンチャー

■会社概要

1. 会社沿革
シンバイオ製薬<4582>は、2005年3月に現代表取締役社長兼CEOの吉田文紀(よしだふみのり)氏が創業したバイオベンチャーである。事業戦略は、患者数が少ないため開発が見送られている「空白の治療領域」を埋める新薬の開発・提供を行うことを基本方針とし、なかでも医療ニーズの高い「がん、血液、希少疾病」の分野にターゲットを絞り、ヒトでのPOC※を取得した開発候補品を導入して臨床試験段階から開発を行うことで、高確率かつ迅速な創薬を目指すビジネスモデルであることが特徴となっている。

※POC(Proof of Cocept):研究開発中である新薬候補物質の有用性・効果が、動物もしくはヒトに投与することによって認められること。


最初に導入した開発候補品はアステラス ファーマ(独)の開発した悪性リンパ腫を対象とした抗がん剤「Bendamustine Hydrochloride」(ベンダムスチン塩酸塩、日本での商品名は「トレアキシン(R)」)で、2005年12月に国内での独占的開発及び販売権の契約締結を行った。同社は開発コード「SyB L-0501」として、2006年より再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)を対象とした第1相臨床試験に着手し、2010年に製造販売承認を取得した。なお、この間にライセンス活動も進めており、2007年に独占的開発及び販売権の対象エリアを中国、韓国、台湾、シンガポールに広げたほか、2008年には販売提携先としてエーザイと国内で、2009年に韓国、シンガポールでライセンス契約を行った。なお、エーザイの事業戦略変更に伴いライセンス契約は2020年12月9日を期限に解消されることが決定している。このため2021年以降、国内は自販体制に移行する予定となっており、現在は販売・物流体制構築のための準備を進めている段階にある。

2010年12月より国内で販売を開始した「トレアキシン(R)」は、その後も適応拡大のための開発を進め、2016年に慢性リンパ性白血病(CLL)、未治療(初回治療)の低悪性度NHL/MCLで承認を取得し、販売を伸ばしている。また、アジアでは2010年にシンガポール、2011年に韓国、2012年に台湾でそれぞれ販売が開始されている。台湾については2008年にイノファーマックス(台湾)とライセンス契約を締結し、同社を通じて販売を行っている。

また、2つ目の導入品としてオンコノバより、骨髄異形成症候群(MDS)※1を適応症とした開発候補品である「リゴセルチブ」(開発コード「SyB L-1101(注射剤)/SyB C-1101(経口剤)」)に関する日本、韓国における独占的開発及び販売権の契約を2011年に締結し、現在も開発が進められている。さらに、2017年にはイーグル・ファーマシューティカルズ(米)と「トレアキシン(R)」の液剤タイプであるRTD/RI製剤(開発コード「SyB L-1701/SyB L-1702」)※2の日本における独占的開発及び販売権契約を締結し、同様に開発が進められている。

※1 MDSとは、骨髄にある造血幹細胞の異常により、正常な血液細胞を造ることができなくなる病気で、正常な血液細胞が減少し、貧血、感染症、出血などの症状が出るほか、急性骨髄性白血病に移行することでも知られている。骨髄の状況を検査し、白血病移行期間の予測判定を行い、期間の長さ等によって4段階に分類している。高リスク分類は25%白血病移行期間で0.2年、50%生存期間中央値で0.4年となっている。国内の患者数は約1.1万人。唯一の根治療法は造血幹細胞移植となっており、化学療法では「アザシチジン」が第一選択薬として使用されている。国内では日本新薬<4516>が「ビダーザ(R)」の商品名で販売しており、薬価ベースで年間150〜160億円の売上規模となっている。
※2 現在、国内で承認されている「トレアキシン(R)」は凍結乾燥注射剤で、使用時に医療現場で溶解作業が必要となる。液剤タイプは同作業が不要なため、医療従事者の作業負荷が大幅に軽減される。また、RTD製剤とRI製剤の違いは静脈注射時間で、RTD製剤は既存品と同じく60分間であるのに対しRI製剤は10分間と短く、患者負担が大幅に軽減される。


さらに、2019年9月には3つ目の導入開発品としてキメリックスから「BCV」に関して、天然痘を除く全てのウイルス性疾患を対象とするグローバルの独占的開発・製造及び販売ライセンス契約を締結した。「BCV」は、シドフォビル(CDV:日本未承認)と比べて高活性の抗ウイルス効果と高い安全性が特徴で、各種のDNAウイルス感染症治療薬として開発が期待される。まずは、国内で造血幹細胞移植後に発症する可能性のあるウイルス性出血性膀胱炎を適応対象とした開発を進めていく予定となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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