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銘柄/投資戦略 2019/12/13 15:06 一覧へ

Jストリーム Research Memo(6):EVCとOTTの2軸でサービス展開

■Jストリーム<4308>の事業戦略基本方針

1. コモディティ化する動画配信
スマートフォンなど動画視聴ができるデバイスを個人が常時携帯するようになり、Wi-Fi環境の充実や今後予定される第5世代移動通信システム(5G)の普及など屋内外での動画視聴の環境の整備も進んでいる。テレビから離れた若者は、好みのタイミングで様々なデバイスを使ってネット動画を視聴する。SNSや社内ポータルなどの利用も増加し、それがさらに動画配信の環境を充実させることになる。また、動画利用コストの低下と動画利用効果の拡大も、動画の利用増に拍車をかけている。このような動画のコモディティ化現象により動画利用シーンが急拡大、動画配信の市場も大きく変化している。今後、EVC※1におけるeラーニングやWeb会議、統合型マーケティングなど用途特化型サービスの台頭と、NHKのIPサイマル放送※2計画やOTT業者の動画配信サービス参入によるコンテンツホルダーの衛星放送・CATV離れなど、放送とOTT※3の再編が予測されており、同社にとってビジネスチャンスになってきた。このため同社は、汎用プロダクトと付帯サービスの単純な提供から、プロダクトの機能を共通プラットフォームに乗せることで用途に合わせたサービスを提供できるよう進化していくと予想される。同社は今後、最先端の動画ソリューションカンパニーとしての色が強まるだろう。

※1 EVC(Enterprise Video Communications):一般企業における動画を使ったコミュニケーション。
※2 IPサイマル放送:サイマル配信とも言い、1つの放送局が同じ時間帯に同じコンテンツを、異なるチャンネル(周波数)や放送方式、放送媒体で放送すること。特に、放送(テレビ、ラジオ)と同じものを通信(インターネット)で同時配信することを指すことが多い。
※3 OTT(Over The Top):インターネット回線を通じて音声・動画コンテンツなどを提供する、ネットフリックスやアマゾン・ドット・コムなど通信事業者以外の企業やプラットフォーム、サービスのこと。



特に医薬業界と金融業界に注力
2. EVC領域とOTT領域における事業戦略
(1) EVC領域における事業戦略
窓口業務や教育などあらゆる業務への動画導入が促進されつつあり、既にトップメッセージの共有や研修・教育など社内コミュニケーションに使われる事例が増加するなど、「ビデオコミュニケーション市場」が拡大している。欧米では企業の社内外向けの動画活用が一般化しているが、今後日本でも、大企業を中心に顧客や株主、従業員などステークホルダーとの円滑で効率的なコミュニケーションを図るため、動画を活用する機会がより一層増えていくことが予想される。社内コミュニケーションにおいて働き方改革やコスト削減、効果の可視化、同報性といったメリットも大きいため、動画の利用機会はますます増えていくと思われる。また、5GやIoT、VRなど次世代のインターネット環境が整備されつつあり、双方向性や高画質化など更なる大容量動画に対するニーズも急激に拡大することが予測されている。

このため同社は、EVC領域でコンサルテーションを組み合わせたサービスを強化していく考えである。特に売上構成比の大きい医薬業界と金融業界に対して注力する方針である。医薬業界に対しては、取引のある医薬品メーカー上位20社中7割を軸にアップセルを図る。医薬品メーカーのWeb講演会をさらに深耕するとともに、各専門医学会や医療機器関連へのWeb講演会の普及・展開を図る方針である。4Kなど新たなニーズも開拓していく。金融向けには、PR用コンテンツ制作や社内コミュニケーション用動画制作、代理店向けの教育・情報発信、セキュリティなどのサービスを提案していく計画である。


メディア向けにサイマル放送関連サービスを展開
(2) OTT領域における事業戦略
スマートフォンが普及し次世代インターネット環境が整備されつつあるなか、NTTドコモ<9437>など通信事業者による動画配信サービスに加え、OTTを利用して様々なコンテンツホルダーによる配信が広がっている。そこで注目されるのが、コンテンツホルダーであるキー局や地方局など通信事業者以外(放送業者)の動向である。OTTでは継続的な開発やシステム運用が必要になるため、すべてのコンテンツホルダーが配信サービスを構築できるわけではなく、コンテンツホルダーは現状、影響力の大きいAmazonプライムビデオやNetflixなどを利用している。しかし、プラットフォームをそうした企業に依存していては、コンテンツホルダーとして効率的・効果的な戦略が組めず、同業との差別化もできないため、長期的には独自のコンテンツ配信サービス(IPサイマル放送)を構築する必要に迫られることになる。

このようなキー局や地方局などコンテンツホルダーのニーズに対し、同社はセキュリティや運用、保守などの問題を取り除き、広告展開を支援するサービスを提供することで、彼ら自身のオウンドメディア※1のごとくOTTを利用できるサービスを展開している。目下同社は、IPサイマル放送需要の拡大を取り込むべく、グループを挙げて制作・開発・サービス体制を整備している。また、スキニーバンドル※2やOTTビジネス需要に対して、サービスをパッケージ化した対応も進めている。IPサイマル放送向けにサービス基盤を構築提供している子会社イノコスのリソースを利用し、足掛かりとして地方局においてスポーツなどを使って実績を蓄積しているところである。同社は、放送同時配信、ファイル編成配信、LiveToFile、災害時向けライブといったIPサイマル配信用機能を「J-Stream Equipmedia」とシームレスに連携することで、「J-Stream Equipmedia」の上位サービスメニューとして展開、極力カスタマイズが発生しない形でターゲット顧客へ提供する考えである。

※1 オウンドメディア:広報誌やパンフレット、Webサイト、SNSなど企業自らが所有し、消費者などに向けて発信するための媒体。
※2 スキニーバンドル:通常のCATVなどに比べて限定されたチャンネルを低価格で提供するサービス。CATVの低料金プランの意味にも、同様のストリーミングサービスの意味にも使われる言葉。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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