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市況・概要 2019/06/16 08:58 一覧へ

「新政権VS議会」でポンドは?【フィスコ・コラム】

イギリスの保守党でメイ首相の党首辞任を受け、後任選びが本格化しています。現時点で出馬表明している欧州連合(EU)離脱の強硬派が党首に選出されれば、新政権と議会との対立は避けられないでしょう。ポンドの値動きにどう影響するでしょうか。


ポンド・円は5月初旬の146円半ばから下落基調に傾き、その後の1か月間で136円半ばまで10円程度も値を切り下げました。米中貿易交渉での対立激化への懸念から、円買いが強まったことがきっかけです。その後、2回目の国民投票に容認姿勢を示したメイ首相は党内からの退陣圧力に抗しきれず辞任。強硬派が後任となれば合意なき離脱は現実になるとの見方から、ポンド売りが優勢となりました。


保守党は今後、上下両院議員と党員による投票で上位2人に絞り、決選投票で7月第4週にも新党首を選出する見通しです。これまでジョンソン前外相やラーブ前離脱担当相、ハント外相など10人が立候補しました。ジョンソン氏は2016年6月の国民投票実施の際、真っ先に離脱支持を表明。ラーブ氏も昨年11月、政府が承認した離脱協定案に反発して辞任した経緯があり、強硬派の出馬が目立ちます。


現時点で最有力候補とされるジョンソン氏は、今年10月末の離脱を目指すとし、「合意なき」に関しては「最後の手段」と明言しています。同氏は英紙テレグラフの記者時代から欧州懐疑派として知られ、大げさな見出しを付けた記事で読者から支持されていたといいます。ロンドン市長を2期務め、行政経験を積みました。どこか憎めないキャラクターなのか女性スキャンダルなどが暴露されても人気は高いようです。


混とんとした政治課題を解決するためには、リーダーの人気は非常に重要な要素になります。仮にジョンソン氏が選出され、最終的には「合意なき」も辞さない離脱案をまとめるとすると、与野党の親EU議員との衝突で解散・総選挙は避けられなくなるでしょう。そうなれば、ポンドは売り再開で130円を割り込み、国民投票が行われた年の10月に付けたここ数年の最安値である124円台が視野に入ります。


一方で、今年5月に行われた欧州議会選でのブレグジット党の躍進から判断して、総選挙となれば保守党は最終的に強硬離脱とのスタンスに傾くと思われます。対照的に、労働党は2度目の国民投票を含め親EUの立場を主張するとみられ、対立軸が鮮明になります。つまり、3年前の国民投票の結果を前提としながら親EUか反EUかを有権者に問う選挙になる、との仮説が成り立ちます。


その場合、保守党が勝利すれば強硬離脱の機運が一気に高まるものの、足元の政治の迷走状態からは脱却できるかもしれません。むしろ米トランプ政権との緊密な関係構築に期待感が高まる可能性もあります。逆に野党が政権を奪還すると、2度目の国民投票でさらに混とんとするとの見方もできるでしょう。ただ、いずれにしても、先行き不透明感から当面はポンドが買いづらい状況に変わりはなさそうです。

(吉池 威)

※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。


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