Mimaki Research Memo(7):世界的に不透明な状況のなか、2ケタ営業増益を達成
*17:27JST Mimaki Research Memo(7):世界的に不透明な状況のなか、2ケタ営業増益を達成
■業績動向
1. 2024年3月期第2四半期累計の業績動向
ミマキエンジニアリング<6638>の2024年3月期第2四半期累計の業績は、売上高が35,437百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益が2,331百万円(同23.7%増)、経常利益が2,014百万円(同17.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,412百万円(同9.0%増)と好調な着地となった。期初の会社予想に対して、売上高で1,762百万円未達となったが、営業利益で481百万円、経常利益で424百万円、親会社に帰属する四半期純利益で312百万円の超過達成となった。なお、主要な為替レート(2023年4月~2023年9月の平均レート)は、1米ドル=141.00円(前年同期133.98円)、1ユーロ=153.38円(同138.72円)だった。
世界経済は、高水準のインフレの継続や、各国中央銀行や政府による金融政策などの影響が続くなかで、全般的に不透明な状況が継続した。北米では個人消費を中心に景気が堅調に推移している一方、欧州ではウクライナ侵攻の長期化を背景に景気の停滞が続いた。日本経済は、脱コロナ禍に伴い個人消費や設備投資が戻ったことに加え、インバウンド需要の回復や輸出需要の増加などが追い風となり、引き続き堅調に推移した。
このような環境のなか、同社は中長期成長戦略「Mimaki V10」で定めた重点施策に基づき、新製品の市場投入と販売拡大、市場環境や顧客ニーズの急激な変化を見据えた事業展開、収益性向上に向けた基盤の構築を継続した。また、SG市場向け新製品として、「低消費電力」と「3つの機能をプラス」でさらなる進化を遂げたエントリーモデルUVプリンタ「UJV100-160Plus」と、SG市場のけん引役と期待する多様な基材に多彩に表現できるUVプリンタ「UCJV330シリーズ」の、世界同時発売を発表した。さらに、国内で17番目の営業拠点として沖縄営業所を開設したほか、国内で開催された脱炭素経営実現のための専門展示会「脱炭素EXPO」に捺染生地の脱色技術「ネオクロマト・プロセス」を初出展するなど、今後の販売拡大に向けた戦略を着実に実行した。
同社は、全般的に景気後退の影響を受けたことに加え営業活動が後手に回った第1四半期の反省を踏まえ、第2四半期では世界各地で「ミニ展」戦略を積極展開、個別商談の着実な獲得とクロージングに取り組んだ。これにより売上高は、円安に伴うプラス影響もあったが、為替の影響を除いたうえでも増収を確保した。製品市場別では、TA市場向けは、2024年3月期に市場投入した、これまでのラインナップにないDTF(Direct to Film)機の「TxF150-75」が好調でアドオンし、販売が大幅に伸長した。SG市場向けは本体の販売が減少したもののインクの売上が堅調に推移し、IP市場向けは新製品の発売で売上が大きく伸びた前年同期と同水準の売上を確保した。しかしFA事業の売上は、高水準な需要があった前年同期に対して減少した。エリア別では、北米や欧州、アジア・オセアニアが景気減速の影響を受け前年同期並みの販売にとどまった一方、日本は景気回復に伴う需要の拡大により売上が伸長した。
利益面では、半導体など前期に調達した高コストの部材を使った製品販売が続いたものの、世界的なロジスティクス混乱の終息に伴う輸送コストの減少、インフレ進行に対応した価格の見直しによって売上原価率が改善した。販管費は、今後の新技術・新製品開発に向けた研究開発費や、グローバルな展示会への積極的な出展、営業活動の活発化に伴う人件費などで実額は増加したが、売上高比率では上昇を最小限にとどめた。なお、期初の会社予想に対して売上高が未達になったのは、周回遅れのコロナ禍からの回復により日本は計画を上回ったが、欧州がウクライナ情勢により景気回復が遅れたこと、北米が第1四半期の高金利により投資が減少したうえ部材不足の改善が一巡したことが要因で、中国とオーストラリアの業況も弱かった。営業利益が超過達成となった要因は、円安効果に加え、部品コストは高止まったものの輸送コストが下がったこと、2022年に各国で機動的に実施した価格改定が受け入れられたことによる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SO>