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銘柄/投資戦略 2024/08/01 13:42 一覧へ

テクマト Research Memo(2):ネットワーク&セキュリティシステムの構築・保守等を展開するIT企業

*13:42JST テクマト Research Memo(2):ネットワーク&セキュリティシステムの構築・保守等を展開するIT企業 ■会社概要

1. 会社概要
テクマトリックス<3762>は、ニチメン(株)(現 双日<2768>)の営業部門の戦略子会社として1984年に設立されたニチメンデータシステム(株)が前身である。技術・ビジネスの両面で優れた製品・サービスを発掘する“目利き力”及び“マーケティング力”、レベルの高い“ビジネスオペレーション力”といった商社で培われたノウハウを受け継ぎ、事業展開を進めていることが最大の強みであり、特長となっている。

同社グループは、同社が情報基盤事業とCRM分野、ビジネスソリューション分野、SE分野、教育分野等の業界及び業務特化型ソリューションサービスを展開しており、そのほか医療機関向けPACSを主に展開するPSP(株)※1や、ITシステム基盤のコンサルティング・設計・構築、ネットワークシステムの運用・監視等を行うクロス・ヘッド(株)、システム開発やIT技術者の教育サービス等を展開する(株)カサレアル、金融取引統合管理システム「ARECCIA」シリーズの設計・開発等を行うアレクシアフィンテック(株)※2、ASEAN地域でコンタクトセンターCRMシステム/FAQナレッジシステムの提供・マーケティング・技術サポートを展開するTechMatrix Asia Co., Ltd.(タイ、2023年4月設立)など合計9社の連結子会社で構成されている。また、2022年4月にPSPとエムスリー<2413>の合弁会社として、AI技術を用いた医療画像診断支援サービスを提供するエムスリーAI(株)を設立し持分法適用会社としたほか、2024年3月に資本業務提携先のモビルス<4370>に追加出資し、持分法適用会社とした。モビルスはコンタクトセンター向けSaaSを提供しており、チャットボットや生成AIを活用したCXソリューションのノウハウを持つ。同社は、こうした技術・ノウハウを自社のCRM製品と連携することでCRM事業の強化・拡大を目指している。

※1 2018年に同社が医療システム事業を分割して設立した(株)NOBORIを、2022年2月に子会社化した旧PSPが吸収統合する形で新生PSPがスタートした。新生PSPの株主構成比率は、同社50.02%、三井物産<8031>20.00%、エムスリー18.70%、大日本印刷<7912>11.28%である。
※2 2023年7月に金融分野のさらなる事業拡大を目的に、同社の金融システム関連事業をアレクシアフィンテック(2019年連結子会社化)に移管統合するとともに完全子会社化した。


2. 事業内容
同社の事業セグメントは、情報基盤事業とアプリケーション・サービス事業、医療システム事業の3つの事業で構成されている。直近3期間の事業セグメント別構成比を見ると、情報基盤事業が売上収益、営業利益で60%以上を占める主力事業となっている。また、アプリケーション・サービス事業と医療システム事業は売上収益で10%台後半と同規模となっているが、営業利益の構成比では、アプリケーション・サービス事業が2024年3月期で5.4%と低水準となっている。これは新規分野として育成中の教育分野への先行投資が続いていることが主因である。2024年3月期の事業セグメント別営業利益率で見ると、医療システム事業が15.5%と最も高く、次いで情報基盤事業が11.4%、アプリケーション・サービス事業が3.9%となっている。

(1) 情報基盤事業
情報基盤事業では、ネットワーク及びセキュリティ分野において独自の目利き力を生かし、北米を中心に高い技術力、競争力、成長力を持つ製品を見極め、単なる製品販売にとどまらずシステム構築から保守・サポート、運用・監視サービスに至るまでワンストップ・ソリューションでサービスを提供している。

主に、仮想化ソリューション※1、次世代ネットワーク、セキュリティ、ストレージ等の分野を対象としており、ここ数年は企業の情報システムに対するサイバー攻撃の増大を背景に、クラウド型セキュリティ対策製品の需要が大きく伸長している。主要取扱製品・サービスとしては、Palo Alto Networksの次世代ファイアウォール※2及びSASE※3(Secure Access Service Edge)、F5の負荷分散装置※4、Trellixの不正侵入防御システム、Proofpointの次世代型メールセキュリティソリューション、Dell Technologiesのクラスターストレージなど世界でも高いシェアを有する製品が多く、それぞれ販売一次代理店となっている。単体売上収益に占める製品売上構成比ではPalo Alto Networks製品が最も大きい。

※1 コンピュータシステムを構成する資源(サーバ、ストレージ、ソフトウェア等)に関する技術。複数から構成されるものを論理的に1つのもののように見せかけて利用できるほか、逆に1つのものを論理的に複数に見せかけて利用できる。
※2 使用されるポート番号やプロトコルなどに関係なく通過するアプリケーションを識別し、それを使うユーザの特定及び制御を行う。さらに幅広い脅威に対するスキャニングを実施することでITネットワーク環境において必要とされる可視化と制御を行うセキュリティシステム。
※3 SASE:ネットワークとセキュリティの機能を包括的にクラウドから提供すること。クラウドサービスの普及が進むなかで、これまでクラウドのポリシーは利用サービス別に適用されることが多かったが、SASEは単一のクラウドに集約し包括的に管理するという新しい概念である。
※4 Webサイトへのアクセス集中による反応の低下やシステムダウンを防止するため、多数のアクセス(負荷)が集中した場合に適切に複数のサーバに振り分ける(分散する)装置。


情報セキュリティ関連市場の拡大が続くなかで受注競争も激しくなっているが、同社は多様なニーズに応えることができる先進的かつ競争力の高い商品ラインナップと技術力に裏打ちされた高いソリューション能力を持つことに加えて、24時間365日の保守サポート体制、運用・監視サービスなど、ワンストップで高品質なサービスを提供できる総合力が強みとなっており、大手企業や官公庁向けを中心に販売実績を拡大している。各ベンダーからもその取り組みが評価され数多くの賞を受賞している。具体的には、Palo Alto Networksからは2018年以降6年連続で「JAPAN Distribution Partner of the Year」※を受賞したのに続き、2023年はアジア太平洋地域で最も優れた功績を残した代理店に贈られる「2023 JAPAC Distribution Partner of the Year(JAPAC:日本を含むアジア太平洋地域)」も受賞した。そのほかにも、エンドポイントセキュリティ製品を提供するTanium(合)や次世代型メールセキュリティ製品を提供する日本プルーフポイント(株)、ストレージ製品を提供するDell Technologiesなど多くのベンダーから同様の賞を受賞している。

※「JAPAN Distribution Partner of the Year」は、販売実績や前年度からの成長、販売後のサポートサービスの提供において大きな成果を達成した日本のディストリビュータを表彰するもので、同社は2018年から6年連続受賞している。


連結子会社のクロス・ヘッドは、ネットワークシステムの運用・監視、セキュリティ製品・ストレージ製品の販売、クラウドサービスの導入支援等を行っている。AWS(Amazon Web Services)の導入支援やサイボウズ<4776>のSaaSソリューションの導入支援を数多く手掛けている。クロス・ヘッドの子会社であるOCHは、中小企業向けにデータバックアップや情報セキュリティ対策関連の自社開発プロダクト、リモートワーク環境構築のための製品をサポートサービスとともに販売・提供している。これら子会社の同事業セグメントに占める売上構成比は15%程度と見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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