室町ケミカル Research Memo(1):化学技術で「健康」「環境」の社会課題解決に取り組み成長目指す
*12:01JST 室町ケミカル Research Memo(1):化学技術で「健康」「環境」の社会課題解決に取り組み成長目指す
■要約
室町ケミカル<4885>は、福岡県に本社を置く医薬品メーカーで、医薬品事業、健康食品事業、化学品事業の3つの事業を展開する。商社機能とメーカー機能を持ち、豊富な化学技術をベースに顧客要望に応じて最適なソリューションを提供しながら事業を拡大している。
1. 2025年5月期中間期の業績概要
2025年5月期中間期(2024年6月〜11月)の売上高は前年同期比1.8%増の2,965百万円、営業利益で同34.0%増の154百万円となり、売上高は2期ぶりの増収、営業利益は3期ぶりの増益に転じた。医薬品事業が主力商品である抗てんかん薬用原薬の売上減が響いて減収減益となったものの、健康食品事業や化学品事業がそれぞれ増収となり、原価率改善によって損益も改善したことが増益要因となった。期初計画(売上高3,000百万円、営業利益100百万円)に対しても営業利益は若干上回った。
2. 2025年5月期の業績見通し
2025年5月期の業績は売上高で前期比5.2%増の6,700百万円、営業利益で同6.7%増の450百万円と期初計画を据え置いた。売上高、営業利益ともに連続で過去最高を更新する見通し。下期も健康食品事業や化学品事業がけん引役となる。健康食品事業は前第3四半期に販売開始した大型OEM品が通年で寄与し3期ぶりに黒字転換する見通し。化学品事業もここ数年は先行投資で損失を計上し続けてきたが、イオン交換樹脂の新規市場開拓が進み、2025年5月期は黒字化が見込まれる。
3. 中期経営計画の進捗と長期ビジョン
2022年7月に発表した3ヶ年の中期経営計画では、業績目標として2025年5月期に売上高70億円以上、営業利益6億円以上を掲げていたが若干未達となりそうだ。ただ、各事業の成長戦略は着実に進捗しているものと評価される。「『健康』と『環境』をテーマに、社会に貢献する」をパーパスとし、今後も化学技術をベースとしたオンリーワンのソリューションカンパニーとして持続的な成長が期待される。長期的には2032年5月期に売上高100億円、営業利益率10%以上を目指している。2026年4月より水道事業者向けにPFAS(有機フッ素化合物)の「水質基準」が導入される見通しで、イオン交換樹脂の需要増加が期待されるなど、今後の動向が注目される。
4. 株主還元方針
株主還元については、配当性向20%以上を目安に業績に応じた安定的な配当を実施する方針である。2025年5月期の1株当たり配当金は同方針に基づき、前期比3.0円増配の25.0円(配当性向33.3%)と2期連続増配を予定している。
■Key Points
・医薬品事業と化学品事業は商社・製造機能を持ち、健康食品事業はODM/OEMビジネスを主に展開
・2025年5月期中間期の業績は原価率改善効果で増収増益に
・2025年5月期の業績は売上高、営業利益、経常利益で過去最高を目指す
・「健康」と「環境」分野に注力し、2032年5月期に売上高100億円・営業利益率10%以上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>